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プロセスセンターとは?インストア加工との違いやメリットを解説

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プロセスセンターとは?インストア加工との違いやメリットを解説

プロセスセンターとは

食品業界におけるプロセスセンターとは、最終納品先(小売店・商店)の希望に合わせて生鮮品の仕入れや加工を一括して行う拠点のことです。
スーパーマーケットであれば、精肉部門や惣菜部門で導入されることが多く、PCと呼ばれたりもします。

1980年代から1990年代にかけて、大手スーパーなどがプロセスセンターの導入を始めたことにより、プロセスセンターを持つ会社とインストア加工を主とする会社にわかれました。

一般的に言われるプロセスセンターは、スーパーマーケットに並ぶ生鮮食品の加工工程を指すことが多く、外食産業においては「セントラルキッチン」と呼ばれることもあります。




プロセスセンターの役割と重要性

従来は店舗ごとに仕入れや加工をするため、1店舗ごとに人員を確保しなければならず、人手不足に陥る店舗もありました。

プロセスセンターを導入することで、仕入れや人手のかかる加工作業等の集約により人員を抑えることで店舗作業を軽減し、店舗コストの削減の実現や、商品の大量生産と品質維持を両立できるようになるため、大手企業の商品加工では多数導入されています。

特に、スーパーマーケット業界の大手チェーンは、プロセスセンターを活用して生鮮食品を加工・提供しているケースが大半を占めています。




プロセスセンターとインストア加工のメリット・デメリット

プロセスセンター2.jpg

プロセスセンターのメリット

店舗ごとの人手不足解消、人件費削減

従来は店舗ごとに仕入れや加工をするため、1店舗ごとに人員を確保しなければならず、人手不足に陥る店舗もありました。
プロセスセンターを導入することで、仕入れや人手のかかる加工作業等の集約により人員を抑えることで店舗作業を軽減し、店舗コストの削減の実現が可能です。


加工品質を一定に保つ

インストア加工では、加工作業員の技術が店舗によって様々なこともあり、一定の品質で商品を提供することが難しいという問題があります。
プロセスセンターでは、高い技術力の加工作業員を常駐させることや、機械の導入によって、一定の品質を保ち提供することが可能になります。


大量生産が可能

インストア加工のデメリットとして、調理スペースを大きく確保することが難しい点も挙げられ、加工を効率的に行うための専用の機械を配置したくても、大きすぎれば導入できません。

売り場面積のない加工や調理が専門のプロセスセンターであれば、大きな機械を配置できて大量生産が可能です。

例えば、機械による加工なら材料投入と払い出しの作業を人の手で行い、処理は自動化させることで業務効率を上げられ、作業員も少人数で済み人件費削減にも繋がります。



プロセスセンターのデメリット

商品が店舗に並ぶまでの時間が長い

一括して作業を行うことにより、効率的な生産が可能でコスト削減を図れますが、出来上がった商品を店舗へ輸送する必要があるため、商品が店舗に並ぶまでの時間が長いといった課題が存在します。


品質・鮮度の劣化

出来上がった商品を店舗に輸送する必要があることから、輸送中に製造から時間が経過するため、インストア加工と比べて鮮度や品質がどうしても低下してしまいます。
また、劣化の程度は一定ではなく、天候などの様々な状況によっても影響を受けます。


設備投資・初期投資が高額

自社でプロセスセンターを運用する場合、施設や機器の費用、人件費などの確保が必要なため、高額な初期投資費用が必要となります。
また、加工する商品の種類が少なかったり、店舗数が少ない場合、初期投資費用を回収できないこともあります。




インストア加工のメリット

加工から商品陳列までの時間が短い

インストア加工は、店舗単位で仕入れや加工を行うため、売り場の状況を見ながら商品を製造することが可能です。
そのため新鮮な商品を素早く陳列することができ、お客様からの要望にも迅速に対応できる柔軟性があります。


売れ行きや地域性を加味した調整が可能

インストア加工は、店舗内で商品を製造するため、その日の需要や地域の特性を直接把握することができます。
これにより、地域の家族構成や消費傾向に合わせた商品展開が可能となり、売れ行きの良い商品を多く製造することで売上を伸ばす取り組みができます。
また、売れ行きの悪い商品の製造を抑えることで、食品ロスの削減にも貢献することが可能です。



インストア加工のデメリット

コストが高くなりやすい

インストア加工では、全ての作業を店舗内で行うため、従業員の作業負担が増加しやすくなります。
また、加工のための専用スペースを確保する必要があり、十分な加工スペースと人員が必要になります。
これらの要素は、特に人手不足の店舗では大きな負担となり、結果的に運営コストが高くなる可能性があります。


品質にばらつきが生じる

プロセスセンターとは異なり、インストア加工では各店舗で従業員がその場で商品を加工する必要があるため、商品の品質が従業員の加工技術に左右されます。
そのため、店舗ごとに加工技術にばらつきが生じ、商品の品質が店舗によって異なるという欠点があります。




企業の導入事例紹介

プロセスセンター3.jpg

イオン株式会社

イオン株式会社様では、2024年6月よりイオンフードサプライ株式会社の運営のもと、商品の開発から販売までを一貫してデザインするSPA(製造小売業)形式により売場の価値を高めることを目指し、食の専門家チームが開発した商品をプロ料理人の製造技術で生産することをコンセプトにした惣菜プロセスセンターを稼働させています。

従来、イオンの惣菜メニューは家庭的なメニューを中心に消費者の家事負担を軽減することを目的としていました。
しかし、近年では食嗜好の多様化により、消費者はスーパーでもプロ料理人の品質を備えた本格的な料理を手軽に購入したいというニーズが高まっています。
そこで、今回のコンセプトに沿った惣菜プロセスセンターの稼働に至ったのです。

新コンセプトの総菜プロセスセンター稼働について | イオン株式会社 (aeon.info)



株式会社さとう

さとうグループ様は1666年に創業し、2017年には351周年を迎えた歴史を持つ流通サービス企業です。
京都府に本社を構え、大型ショッピングセンターやスーパーマーケット、ホームセンターなど、合計71店舗を展開しています。

2017年7月には、将来の出店増加や供給量、供給アイテムの増加を見据えて、最新鋭の設備を備えた2フロア構成のセンターを開設しました。
このセンターは、精肉・鮮魚・惣菜の加工・配送機能、常温商品の在庫型配送機能、そして生鮮食品・チルド商品・常温商品の通過型配送機能を兼ね備え、最大50店舗に商品を供給することが可能です。

さらに、自社のプロセスセンターで加工した高級冷凍牛肉をオリジナルブランドとして販売したところ、保存の利く美味しい牛肉として人気を博しました。
これを受け現在では、生鮮食品・冷凍食品・パン類を加工するプロセスセンターも稼働しています。

食品加工・総合物流センターについて | 北近畿最大の流通サービス企業 さとうグループ (sato-kyoto.com)



スターゼン株式会社

スターゼン株式会社様では、全国に9カ所のプロセスセンターを導入しています。
9カ所の内訳として、消費地型プロセスセンターを5カ所、産地型プロセスセンターを4カ所となっています。

消費地型プロセスセンターでは、様々な専用機器と高度な食肉加工技術により、味付け商品や簡便商品などマーケットニーズに応えた商品を製造しています。
産地型プロセスセンターでは、産地工場内で、鮮度の良い原料を使用したスキンパック商品など、ロングライフ(日持ちのする)商品を加工製造しています。

食肉一次加工品 | スターゼンの加工品 | 商品情報 | スターゼン株式会社 (starzen.co.jp)




プロセスセンターでのロングライフ化や省人化

株式会社スターゼン様の事例があったように、昨今ではSDGsの取り組みや、世界規模で問題となっている食品ロス対策として、様々な企業が商品のロングライフ化に取り組んでいます。
この技術は、大手企業やプロセスセンターなどの工場だけでなく、中小企業でもMAP包装機や急速冷凍機の導入が増えつつあります。
今後、ロングライフ技術の導入が当たり前となる時代がくるかもしれません。

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また、日本では年々人口が減少傾向にあり、2024年問題や物価高騰による賃上げの不可などが影響し、必要な人員を十分に確保できないのが現状です。
そういった問題を解決するため、自動化ロボットなどを導入し、人手不足対策と併せ、現場環境の改善や従業員の負担軽減として、省人化や省力化に取り組んでいる企業も多くなってきました。
プロセスセンターにおいても、自動化をすることで作業を効率化し、省人化を図っている企業も少なくありません。

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スーパーマーケットプロセスセンターにおける環境問題への取り組み

全国のスーパーマーケットでは、多くの店舗が「日本スーパーマーケット協会」に加盟しており、省エネ法の目標に基づいて様々な環境問題に取り組んでいます。

2010年からは、省エネ法によって企業単位でのエネルギー管理が求められています。
具体的には、企業全体(本社、配送センター、プロセスセンター、惣菜工場、店舗など)の年間エネルギー使用量が原油換算で1500kl以上の場合、特定事業者としての指定を受ける必要があります。
特定事業者には、年平均1%以上のエネルギー消費原単位の低減という努力目標が求められ、そのためにエネルギー効率の高い設備やリサイクル技術の導入が注目されています。

食品加工におけるCO2排出量や廃棄物を減少させるためには、再生可能エネルギーの活用や廃棄物からのエネルギー回収技術の開発・導入が重要です。

環境問題 JSA日本スーパーマーケット協会 (jsa-net.gr.jp)


東京と大阪に本社を置く株式会社ライフコーポレーション様では、環境問題に対する取り組みとして、店舗の屋上に太陽光発電設備の設置を進めています。
2023年度には5店舗に新設し、合計で25拠点が太陽光発電に取り組んでいます。

さらに、小売業として日本最大規模のバイオガス発電設備を導入しており、自社のプロセスセンターから排出される食品残渣を活用してバイオガスを生成し、そのバイオガスを燃料に発電を行っています。
太陽光発電とバイオガス発電の年間発電量は190万kWhに達し、これは約450世帯の年間電気使用量に相当します(世帯当たりの発電量:4,258 kWh、環境省「令和2年度 家庭部門のCO2排出実態統計調査」より)。

また、これにより年間約4,380トンの食品廃棄物の削減にも貢献しています。

環境への負荷低減 - ライフコーポレーション (lifecorp.jp)




まとめ

プロセスセンターは、食品業界において生鮮品の仕入れや加工を集約して行う拠点のことです。
1980年代から大手スーパーマーケットで導入が進み、インストア加工との棲み分けが行われました。

プロセスセンターは、効率的な加工と品質維持を実現し、人件費の削減や大量生産が可能な点で優れていますが、輸送時間による鮮度低下や高額な初期投資が課題です。

一方、インストア加工は新鮮な商品を迅速に提供でき、地域の需要に応じた柔軟な対応が可能ですが、品質がばらつきやすくコストがかかってしまう課題があります。

大手企業ではプロセスセンターを活用し、生産効率を向上させていますが、環境問題への対応も課題となっており、省エネや再生可能エネルギーの導入が求められています。




機械・設備のご相談はお任せください

近年、多くの企業で導入が検討されているプロセスセンターは、食品業界でも注目を集めていますが、導入には多くの機械・設備が必要です。
さらに、導入後はプロセスセンターを円滑に稼働させるため、機械や設備に合わせた適切なメンテナンスも重要です。

静岡産業社では、機械・設備に関する専門チームを設置しており、お客様のニーズに合った最適な機械・設備のご提案を行っています。
導入後も、自社で保守やメンテナンスを行っていますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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