省人化とは、労働力を削減しつつ、業務の効率化や生産性の向上を図る取り組みのことを指します。
近年、日本では少子高齢化などによる人手不足の問題が深刻化しており、
これに対処するため製造業はもちろんのこと、様々な企業で省人化が模索されており、
省人化の意識は高まってきています。
今回は、人手不足解消の為の省人化について、飲食店の事例なども含めて詳しくご紹介いたします。
※2025/08/22 記事内容を加筆しました。
『人が行う作業を見直して効率化を図り、人が行う作業の負担を減らす取り組み』を省力化といいます。
例えば、全体で30分かかる作業があります。この作業の製造ラインを見直し、ロボットの導入やAI技術などの活用により自動化し効率化することで、『作業者にかかる手間』を減らし、『全体の作業時間を、15分(50%削減)にする』などです。
あくまで作業時間の削減であるため、人員を減らして効率化を進めるのではなく、作業者ができるだけ労力をかけずに最大限の生産性を発揮しようとする考え方になります。
『労働力を削減しつつ、業務の効率化や生産性の向上を図る取り組み』を省人化といいます。
例えば、3人で行っている作業があります。この作業の製造ラインを、自動化やロボットの導入、AI技術などを活用し、作業人数が2人で十分になるよう『作業を省力化』することで、省力化によって手が空いた1人を『他の工程に充てる』ことができるようになります。
人が行わなくてもできる作業を、機械やロボットに任せることで人員を削減し、単純な人件費の削減だけでなく、生産性の向上を図る考え方になります。
日本は少子高齢化により、働き手の数が年々減少しています。このため、多くの企業が労働力の確保に苦労しており、特に製造業ではその影響が顕著に出てきています。省人化は、限られた労働力で最大限の業務を遂行するための有効な手段となり得ます。
人手による作業はミスが発生しやすく、また一人ひとりの作業量にも限度があります。自動化やロボット導入による省人化によって、作業の正確性とスピードの両方を向上させることができるため、全体的な生産性を向上させることが可能です。
働き方改革により、労働環境の良し悪しが重要な要素となっています。特に労働者側は、残業が多い企業には就職したくないなど、労働環境を重視することが多いです。労働力不足を補うためにも、省人化による労働環境の改善は必須と言えるでしょう。
労働力の確保はどのような企業においても問題となっており、人件費が高騰する近年では、自動化やロボットの導入により労働力不足の問題を改善することが可能です。ロボットは退職することがないため、壊れない限り長期的な労働力として効果を発揮してくれるでしょう。
省人化は労働力コストの削減にもつながります。人件費が高騰する近年では、自動化技術を導入することで作業を効率化し、必要な労働力を最小限に抑えることが可能です。これにより人件費や運用コストの削減が実現でき、長期的なコスト削減効果が期待されます。
自動化やロボットの導入により、一定の品質を保つことができます。人手による作業ではどうしてもムラが生じてしまいますが、機械化することでその問題を解消し、高品質な製品を安定して生産することが可能です。高品質な製品の安定出荷は、顧客が自社製品をリピートする決め手にもなるでしょう。
単純作業や危険を伴う作業を機械に任せることで、労働災害のリスク軽減や過酷な労働条件による長時間労働の抑制など、労働者の負担を軽減し、健康リスクを減少させることができます。これにより、安全な作業環境へと改善されます。また、作業環境の改善は、従業員の満足度やモチベーションの向上、離職率の低減にもつながります。
省人化を進めるには、業務プロセスを見直し、デジタル技術を積極的に活用することが重要です。そのため、省人化は企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を促進する原動力となります。DXを推進することで、業務の効率化や自動化が加速し、さらなる省人化につながるだけではなく、データに基づいた経営判断や、新たなビジネスモデルの創出など、企業の競争力強化にも貢献します。
ロボット技術の導入は、製造業における省人化の代表手段の一つです。以下に、具体的なロボット技術の例と、その効果をご紹介します。
飲食業界では調理ロボットが注目されています。調理作業は、アルバイトの学生やパートスタッフでもできる作業もあれば、熟練の料理人でなければできない作業もあります。調理ロボットを導入することで、スタッフの熟練度を考慮することなく、均一な品質で一度に多くの調理をすることが可能となり、人手不足問題を解決することができます。
飲食店では、お客様のもとへ料理を届ける配膳ロボットの導入が注目されています。配膳担当スタッフの仕事量を軽減し、空いた時間を片付けなど他の作業に充てることが可能となります。人手の足りなくなりやすいピーク時にも、ロボットが配膳をしてくれるため、客席の回転率向上も見込めます。
工場内での部品や製品の搬送作業をロボットに任せることで、作業者の負担を軽減し、効率的な物流管理が可能となります。たとえば、自動搬送車(AGV)は、指定されたルートを自動で移動し、物品を正確に運搬します。これにより、搬送時間の短縮と労働力の削減が実現します。
まず、「なぜ省人化が必要なのか」をはっきりさせることが重要です。
・人手不足を補いたい
・作業コストを削減したい
・生産性やスピードを上げたい
目的を明確にすることで、優先的に改善すべき業務や工程が見えてきます。
現場でどんな業務が行われているかを整理し、次の点を把握します。
・誰がどの作業を、どれだけの時間で行っているか
・無駄な工程や、繰り返し作業がないか
・マニュアル化・自動化しやすい業務かどうか
現場の担当者にヒアリングを行い、「実態」に沿った改善対象を見極めましょう。
洗い出した業務の中から、自動化できそうな部分に対して、
・どんな機能が必要か
・どの工程にどう導入するかを具体化します(=要件定義)
複数のメーカーやベンダーから提案を受け、比較検討しながら費用対効果も試算しておくと、スムーズに選定できます。
導入後は以下をセットで進めることが重要です。
・操作マニュアルや運用ルールの整備
・従業員への教育・研修
・効果測定と改善のサイクル(PDCA)
導入して終わりではなく、「継続的な改善」で、省人化の成果を最大限に引き出すことができます。
浜松市を拠点とし、静岡県内を中心に40店舗以上を展開する五味八珍様では、ネコ型配膳ロボットを導入しています。土日祝などの休日には来客数が200組を超える場合もあり、従来はフロアスタッフが下膳を担当していましたが、その半分を配膳ロボットに任せることで下膳時間の大幅な短縮に成功しています。
(導入事例:株式会社五味八珍 様)
全国展開するイタリアンレストランチェーンのVANSAN様では、店舗運営における人手不足解消のため、業務支援システム「カミナシ」を導入し、ペーパーレス化と業務の標準化を推進しました。さらに、配膳ロボットの活用も組み合わせることで、飲食業界で深刻化する人材不足に効果的に対応し、生産性向上と従業員の働きがい向上を実現しています。
(参考:急拡大中のイタリアンレストランがカミナシを導入した理由とは )
スナック菓子で有名なカルビー株式会社様では、製造現場のDX推進の一環として、包装フィルムのコード読み取りと製品コード照合を行う自動化ロボットを導入しました。現場の従業員の声を取り入れ、内製化したことで、実際の作業に即した効率的な省人化を実現し、ヒューマンエラーの削減と生産ラインの安定稼働に貢献しています。
(参考:カルビーの新スマート工場が操業開始 自動搬送ロボット、IoT、遠隔操作等で生産ラインの自動化・省力化を推進 環境やLGBTQにも配慮 - ロボスタ)
省人化は、『労働力を削減しつつ、業務の効率化や生産性の向上を図る取り組み』のことであり、人が行わなくてもできる作業を、機械やロボットに任せることで人員を削減し、単純な人件費の削減だけでなく、生産性の向上を図る考え方です。
昨今の人手不足の深刻化に対する効果的な解決策として、ロボットや自動化、AI技術の活用などによる省人化の導入が進められており、飲食店でのネコ型配膳ロボットや、車工場での組み立てロボットなど、成功事例も数多く存在します。
今回ご紹介した省人化技術についてはもちろんのこと、静岡産業社ならば、それらに付随する資材も『まるごと提案』させて頂きます。
省人化を検討する際にどのような機械が必要であるか選定するように、機械以外にも『作業環境にあった備品や資材の選定が必要』です。機械による省人化で終わらず、従業員の働きやすさを最大限にするために、普段から使用されている備品や資材のご提案もさせて頂きます。
包材専門チーム、機械専門チームの両方を持つ静岡産業社であればこその、『まるごと提案』によって、全て解決させて頂きます。