MAP包装(Modified Atmosphere Packaging包装)は『ガス置換包装』とも呼ばれ、食品の鮮度の保持や、保存期間の延長、食品の酸化や微生物の繁殖を抑制し、品質を維持することを目的とした包装技術の1つです。
商品内の空気を特定のガスに置き換えることにより、食品の酸化や微生物の繁殖を抑制し、品質を維持することが可能で、近年ではSDGs(持続可能な開発目標)のフードロス対策への取り組みとして、日本国内の食品業界や製造業界で注目されています。
この記事では、MAP包装について解説していきます。
MAP包装は食品業界において広く認知されており、その利便性と効果から多くの企業が採用しています。特に鮮度が重視される生鮮食品や加工食品においてはその効果が顕著です。
食品の種類や特性に応じて、包装内に封入するガスの種類と割合を決定します。一般的に使用されるガスには、二酸化炭素(CO2)、窒素(N2)、酸素(O2)の3種類があります。それぞれのガスは食品の鮮度保持において、次のような役割を果たします。
二酸化炭素には微生物の繁殖を抑制し、食品の腐敗を防ぐ効果があります。特に生鮮食品や肉製品の保存に効果的です。
窒素は酸化を防ぐ効果があります。不活性ガスであり、酸素の代わりに包装内に充填することで、酸化による品質劣化を防止します。スナック菓子やコーヒー豆の保存に適しています。
酸素は緑色野菜の保持や赤身肉の色を保つために使用されます。酸素を適度に封入することで、食品の見た目の鮮度を維持する効果があります。
食品を包装資材に入れ真空状態にした後、選定したガスを充填します。これにより包装内の空気が排出され、選定したガスが食品を取り囲む環境を形成し、酸化や微生物の繁殖を抑えることができます。
密封工程では食品の鮮度を長期間保つために、高い気密性が求められます。適切な密封によりガスの漏れを防ぎ、効果を持続させることができます。
MAP包装の最大のメリットの一つは、食品の保存期間を延長できることです。これは鮮度を命とする生鮮食品や加工食品において大きなメリットになります。
MAP包装では、酸素を窒素または二酸化炭素へ置き換えることで酸化を防ぎます。酸化は品質劣化の天敵であり、酸素を減らすことで腐敗の進行を遅らせることができます。これによって食品の新鮮さを長期間維持することが可能になります。
二酸化炭素を充填することにより、微生物の繁殖を抑制することができます。生鮮食品や肉製品では微生物が品質に大きな影響を与えるため、微生物の繁殖を抑えることにより、製品の保存期間を大幅に延長することができます。
食品の食感や風味は保存方法によって大きく変わることがありますが、MAP包装では酸化や乾燥を防ぐことができるため、食品の本来の食感、風味を保つことができます。例えばパンなどでは、湿気の保持と酸化防止によって、焼きたてのような風味を長期間維持することができます。
消費者は購入する際、鮮度はもちろん食品の『見た目』も重視しています。MAP包装には野菜や果物の色や鮮度を保つ効果があり、酸素の置換によって酸化を防ぎ、鮮やかな色を保つことができます。これにより店頭での見栄えが良くなり、消費者の購買意欲を高めることができます。
MAP包装は、製品の保存期間を延長し、品質を保持するだけでなく、企業にとってコスト削減効果があります。
食品の保存期間が延長されることや、消費者の購買意欲を高めることにより、商品の在庫回転率を向上させるため、廃棄される食品の量が少なくなります。これによりフードロスに伴うコストを削減することができます。
また近年ではフードロス対策をすることが特に重要視されているため、生鮮食品を扱う企業にとって、フードロスの削減は大きなコストメリットと同時に、『環境負荷低減によるSDGsへの取り組み』として大きなアピールにもなります。
真空包装とは、袋の中の空気を抜いて密封する包装方法のことです。主に食品や工業製品などの品質を保ち、長期間保存できるようにするために使われています。
真空包装の基本的な仕組みは、商品を袋に入れた後、専用の機械で中の空気を抜き、真空状態にしたうえでしっかりと密封するというものです。これにより、酸素や雑菌の影響を減らし、腐敗やサビ、カビの発生を防ぐことができます。
空気が全て無くなるわけでは無く、カステラなどの空気を含む食品に関しては、僅かな空気(酸素)が残ってしまう点は覚えておきましょう。
イオン北海道株式会社様では、2025年までに2015年度比で32%のフードロス削減を目標とし、石狩PCにMAP包装機を導入しました。導入により、従来よりも食品の美味しさと鮮度を保ちながら賞味期限を延ばすことが可能となり、フードロス削減に繋がっています。また、これまで期限切れ間近の商品を値引き販売していましたが、賞味期限が延びることで値引き販売の抑制効果も期待されています。
引用:SDGs | イオン北海道株式会社 (aeon-hokkaido.jp)
株式会社セブン&アイ・ホールディングス様では、自社のサラダ商品の容器のフタを「トップシール」に変更することで、賞味期限の延長だけでなく、プラスチック使用量の削減も実現しています。従来の容器と比べて1個あたり約25%のプラスチック使用量を削減したことが報告されており、環境問題への取り組みもアピールしています。
引用:環境に配慮した容器・包装の導入 | サステナビリティ | セブン&アイ・ホールディングス (7andi.com)
https://www.nasco-japan.com/ NASCO株式会社は、高品質なMAP対応のトップシール包装機を提供するメーカーです。NASCOの機器は最新の技術を駆使し、高い密閉性と効率的なガス置換を実現しています。食品業界での使用に適しており、多くの企業で採用されています。
https://www.daiichi-housouki.co.jp 株式会社第一包装機製作所は、長年にわたり包装機器の開発と製造を行ってきた信頼のあるメーカーです。特にMAP対応のトップシール包装機は、トレーシーラーシリーズ「HIQシリーズ」となっており、Hygiene(衛生的)、Iot、Quality(品質)をコンセプトにしています。その耐久性と使いやすさで高い評価を得ており、多様な食品に対応できるため、幅広い業界で活用されています。
https://tecno-research.com/package/ 株式会社テクノリサーチは、革新的な技術を持つメーカーとして知られている食品包装用のシール包装機メーカーです。同社のMAP対応トップシール包装機は、効率的なガス置換と高い密閉性を誇り、食品の品質を長期間維持することが可能です。高品質な包装を求める企業にとって、テクノリサーチの機器は最適な選択肢となるでしょう。
MAP包装は食品の鮮度を長期間保持するための技術であり、酸素を除去し、特定のガスを封入することで、食品の酸化や微生物の繁殖を防ぎます。それらのことから高品質な製品の提供や、食品ロスの削減が可能となり、食品ロスの削減をすることでSDGsへの取り組みに貢献できることから、食品業界、製造業界では注目度が高い技術となっています。
今回ご紹介したMAP包装機はもちろんのこと、静岡産業社ならそれらに付随する資材も『まるごと提案』させていただきます。
包装機が使用用途によって選定が必要であるように、包装資材も商品と包装形態にあった選定が必要です。MAP包装機の効果を最大限活用するため、包装資材のご提案もさせていただきます。
包材専門チーム、機械専門チームの両方を持つ静岡産業社であれば、『まるごと提案』によって全て解決させていただきます。