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急速冷凍とは何か?品質保持のしくみやメリットを解説

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急速冷凍とは何か?品質保持のしくみやメリットを解説
※2025/07/18 記事内容を加筆・修正しました。

急速冷凍とは

急速冷凍とは、短時間で食品の温度を急激に下げる方法です。急激に温度を下げることで食品内部の水分が細かい氷の結晶となり、組織の破壊を最小限に抑えることができます。

冷凍技術は食品の鮮度を保ち、安全に長期間保存するために重要な役割を果たしています。最近では急速冷凍の技術が進んだことにより冷凍食品市場が拡大し、多種多様な冷凍食品が登場しています。

この記事では、急速冷凍技術の基本と冷凍方法による違い、最新の応用までをご紹介いたします。



冷凍食品について

冷凍(凍結)とは

食品内の水分は、-1℃あたりから凍り始め、-5℃付近でほぼ凍結して氷結晶になります。この温度帯を「最大氷結晶生成温度帯」と呼び、この間の通過時間が長いと氷結晶が大きくなり、食品の組織を壊して味や品質が低下します。そのため、冷凍時は急速にこの温度帯を通過させることが重要です。



冷凍食品の公式定義(日本冷凍食品協会基準)

「前処理を施し、急速冷凍し、品温を-18℃以下に保った上で、消費者向けに通常包装された食品」と定義されています。また、食品衛生法上では保存温度として「-15℃以下」と規定されています。



冷凍食品とは

冷凍食品とは、以下の4つの条件を満たすものを指します。


前処理されている

新鮮な原料を選び、洗浄・不要部分の除去・カットや下ごしらえなど、調理しやすい状態に加工しています。


急速冷凍されている

食品の組織破壊を防ぐため、非常に低い温度で短時間に凍結されています。


適切に包装されている

運搬・保存中の汚れや形崩れを防ぐため、必要な情報(調理法など)を記載した包装が施されています。


品温を-18℃以下で保管されている

製造から販売に至るまで、食品の温度が一貫して-18℃以下に管理されています。




冷凍技術の基本

『冷凍』の定義と原理

冷凍とは食品やその他の物質を低温に冷やして、その保存期間を延長する技術です。具体的には食品を0度以下の温度に下げ、微生物の活動を抑制し、化学反応を遅らせることで食品を保存します。

食品の温度を下げる過程で食品内の水分が氷結し、物質の構造が変化します。この変化を最小限に抑えることで解凍後のドリップの発生を最小限にし、食品の鮮度を保持することができます。


食品保存における冷凍の役割

冷凍技術によって、食品の保存期間を大幅に延長することができます。たとえば、急速冷凍された魚は、通常の保存方法よりも新鮮さを長く保つことができます。この結果、フードロスを減らし、食料供給の安定性を確保することが可能になります。


冷凍方法の種類

緩慢冷凍

緩慢冷凍とは、ゆっくりと食品の温度を下げる方法です。食品の中心温度が最大氷結晶生成温度帯(-1℃~-5℃) を通過する際に、30分以上とどまって冷凍するものを指します。身近なものでは、各家庭で使用されている冷凍庫の冷凍技術が当てはまります。

緩慢冷凍では水分が氷結晶になる際に膨張し、大きな氷結晶が形成されていきます。形成される過程で、氷結晶が食品の細胞を突き破り、ドリップが発生します。その結果、食品の品質や劣化、旨味成分の低下などを引き起こします。

この現象は水分を多く含む食品ほど、食品に与える影響が大きくなります。


急速冷凍

急速冷凍とは、短時間で食品の温度を急激に下げる方法です。食品の中心温度が最大氷結晶生成温度帯(-1℃~-5℃) を30分以内に通過して冷凍するものを指します。温度を急激に下げることにより、氷結晶となる際の膨張を最小限にすることで、組織の破壊を抑えることができます。



急速冷凍によるメリット

食品の高品質な状態を長期間保つことが出来る

急速冷凍技術は、食品の品質を高い水準で維持することができる技術です。急速冷凍することで、食品中の水分が微細な氷結晶となり、細胞膜を破壊せずに食品の風味や食感を保つことができます。特に、果物や野菜、肉類などの生鮮食品では、急速冷凍が品質保持に欠かせない技術となっています。解凍後も冷凍前と遜色のない鮮度を保持することが最大の魅力です。


生産性の向上

急速冷凍の文字通り、冷凍するまでの時間が短いため、今まで一晩かけて冷凍していたものを数十分で冷凍することが可能になります。単純計算で同じ時間で冷凍できる量が何倍、何十倍にもなりますので、生産量の増加や他作業へ人手を回すなど、生産性の向上に繋がります。


コスト削減

冷凍技術により、食品の長期間保存が可能となるため、必要な時に必要な分だけ使用することで、廃棄ロスを大幅に削減することができます。また、季節に左右されない供給体制を確立することで、原材料の調達コストも抑制できます。


フードロス対策

この冷凍技術はフードロス対策にも大いに貢献しています。冷凍保存により食品の劣化を防ぎ、消費期限を延ばすことができます。これが家庭や企業での食品廃棄を減らし、環境保護にも寄与しています。



最新の冷凍技術とその応用

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急速冷凍技術は、食品の品質を保持しながら短時間で冷凍するための技術です。食品の細胞組織を破壊することなく冷凍することができるため、解凍後も新鮮な状態を保つことができます。

急速冷凍技術にはいくつかの種類がありますが、ここでは代表的な「液体冷凍(アルコール冷凍)」、「エアブラスト冷凍」の2つについて詳しく紹介します。


液体冷凍(アルコール冷凍)

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液体冷凍(アルコール冷凍)は、食品を‐30℃以下の液体(アルコール)に浸して冷凍する方法です。液体冷凍(アルコール冷凍)では、食品全体が一様に冷却されるため、品質を高く保つことができます。特に、高価値の食材やデリケートな食品に適しており、寿司ネタや高級果物などで広く利用されています。

具体的には以下のような特徴があります。


均一冷却

食品全体が均一に冷却されるため、部分的な温度差がなく、品質を均一に保つことができます。特に、生鮮食品の鮮度を保つために重要です。


短時間冷凍

液体冷凍(アルコール冷凍)は冷却速度が非常に速いため、短時間で冷凍が完了します。この結果、食品の細胞膜を破壊することなく冷凍することができ、解凍後も食感や風味が損なわれません。


適用範囲の広さ

液体冷凍(アルコール冷凍)は、肉類、魚介類、果物、野菜など、さまざまな食品に適用できます。特に、高級食材や鮮度が重要な食品に対して効果的です。


エアブラスト冷凍

エアブラスト.jpg

エアブラスト冷凍は、強力な冷気を食品に吹き付けて急速に冷凍する方法です。冷却速度が速く、大量の食品を効率的に冷凍することができます。冷凍食品の製造ラインなどで一般的に使用されており、コストパフォーマンスに優れています。

具体的な特徴は以下の通りです。


大量冷凍

エアブラスト冷凍は、大量の食品を一度に冷凍することが可能です。これにより、製造ラインでの生産効率を大幅に向上させることができます。


高効率冷却

冷気を直接食品に吹き付けることで、効率的に冷却が行われます。これにより、食品の品質を保持しながら短時間で冷凍が完了します。


低コスト

エアブラスト冷凍は、設備投資が比較的低コストで済むため、広範な食品業界で利用されています。特に、中小企業にとっては導入しやすい技術です。




液体窒素冷凍

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液体窒素冷凍は、超低温の液体窒素(-196℃)を使って食品を急速冷凍する方法です。液体窒素が気化する際に発生する冷気を食品に吹き付けることで、食品を瞬時に冷凍できます。

具体的な特徴は以下の通りです。


超短時間で冷凍できるため、氷結晶が微細

食品の組織破壊が少なく、品質・食感を保てる。


高級食材や旬の食品に活用

高級魚、エビ、カニ、季節商品(おせちなど)によく使われます。


生産効率アップ

短時間で大量冷凍でき、生産計画を組みやすく、人件費削減にも貢献します。


特殊な応用も可能

液状食品の凍結など、新たな加工用途にも広がっています。




現代社会からみる冷凍食品市場

冷蔵庫.jpg

消費者ニーズの変化

現代の冷凍食品市場は、著しい変化を遂げています。特に消費者のライフスタイルの変化や健康志向の高まりにより、昨今では冷凍食品の需要が大きく増加しています。どのように消費者ニーズが変化してきているのか、詳しく見ていきましょう。


ライフスタイルの多様化

働く女性や共働き世帯の増加によって、手軽に調理できるということもあり、冷凍食品の需要が高まってきています。特に冷凍野菜や冷凍果物、即席料理などの人気が高い傾向にあります。

また、一人暮らしの若者や高齢者も増加しており、冷凍食品は『手軽で便利な食事』として消費者からの支持も高くなっています。


健康志向の高まり

消費者の健康志向が高まる中で、栄養価の高い食品や無添加食品の需要が増加しています。冷凍食品メーカーはこのニーズに応えるため、栄養価を保持することが可能である急速冷凍技術を採用し、品質の高い製品を上市させています。

また、オーガニック食品や低カロリー食品、グルテンフリー食品など、より健康志向の強い消費者向けの製品も増えてきています。


環境意識の高まり

環境意識の高まりにより、フードロス削減が重要視されています。冷凍食品は長期間保存が可能であり、この急速冷凍技術の発展により、食品の風味や品質を保持しつつ、必要な時に必要な分だけを使用できるため、フードロス対策の1つとして注目されています。


世界各地の料理の需要拡大

近年では様々な分野でグローバル化が進んでおり、食品業界も例外ではありません。エスニック料理や韓国料理など、海外のさまざまな料理の人気が高まっています。冷凍食品市場でも、各国の伝統料理や異国の味を楽しめる製品が増えています。



冷凍技術の社会的影響

・環境保護
フードロスの削減は、環境保護に直結します。冷凍技術を活用することで、廃棄される食品の量を減らすことが可能になります。

・経済的効果
フードロスの削減は、経済的にも大きな効果をもたらします。企業は廃棄コストを削減でき、消費者は長期間保存できる食品を手に入れることで、無駄な出費を抑えることができます。これは物価上昇の続く現代にとって重要な効果であるといえます。



時間効率の重視

現代の忙しい生活の中では、「タイパ(タイムパフォーマンスの略)」という言葉が生まれるほど、何事においても時間効率を重視するようになってきました。そのため、帰宅後に短時間で調理可能である冷凍食品はタイパが良く、出来立てそのままの美味しさも相まって、冷凍食品の需要が増えてきています。

限られた時間を有効に使いたい消費者にとって、冷凍食品は便利で頼りになる選択肢となっています。

現代の冷凍食品市場は消費者のライフスタイルや価値観の変化により多様化しています。急速冷凍技術は、食品の品質を保持しながら利便性を提供できることから、この市場の需要に応えており、企業と消費者の双方にとって、理想的な技術ではないでしょうか。




おすすめの急速冷凍機

株式会社テクニカン「リキッドフリーザー凍眠」

凍眠 本体.jpg

https://technican.co.jp

株式会社テクニカンの「凍眠」は、最新の急速冷凍技術を採用した高性能冷凍機です。食品の細胞組織を損なうことなく短時間で冷凍することが可能で、解凍後も新鮮な状態を保つことができます。

以下は「凍眠」の主な特徴です。


均一冷却

「凍眠」は食品全体を均一に冷却する設計がされています。これにより、冷凍ムラがなくなり、品質を高く保つことができます。特に、魚介類や肉類の鮮度を保つのに最適です。


短時間冷凍

急速冷凍により、食品を短時間で冷凍することが可能です。このため、食品の鮮度や栄養価を保持しながら長期間の保存ができるようになります。


省エネルギー

省エネルギー設計が施されているため、運用コストを抑えつつ高効率の冷凍が可能です。



株式会社豊菱フリーズシステムズ「プロトン凍結機」

PF-30.png

https://rfs.proton-group.net

株式会社豊菱フリーズシステムズの「プロトン凍結機」は、次世代の急速冷凍機として注目されています。プロトン凍結機は、電磁波・磁力・冷風による特許技術によって、食品の細胞破壊を最小限に抑える事が可能な急速凍結機です。冷凍(凍結)する事により味の低下を招いていた食品の「美味しさをそのまま再現」します。


食品ロスの削減

美味しさが損なわれるため冷凍をためらっていた食品が、冷凍(凍結)可能となります。賞味期限の短い食品に対し、プロトン凍結の技術を使用する事により、賞味期限の大幅延長が実現します。結果、食品ロスを激減させます。


労務コストの削減

「美味しさをそのまま凍結」する能力により、様々な料理の計画生産が可能となります。限られた人員、限られた時間での効率的な生産に寄与します。それに伴い、夜間・早朝といった時間帯の業務を削減できます。


商圏の拡大

プロトン凍結することにより、本来の美味しさを保ったままコールドチェーンの使用が可能となりました。冷蔵では限られた範囲のみでしか販売ができなかった商品が、日本全国、あるいは海外まで販路拡大ができます。



株式会社コガサン「3Dフリーザー」

3Dフリーザー.jpg

https://kogasun.com/

株式会社コガサンの「3Dフリーザー」は、独自の3D冷却技術を採用した急速冷凍機です。この機器は、食品を立体的に冷却することで、高品質な冷凍を実現します。

以下は「3Dフリーザー」の特徴です。


3D冷却技術

3D冷却技術は、食品をあらゆる方向から均一に冷却する方法です。この技術によって冷却によるムラがなくなり、食品の品質を高く保つことができます。


高効率冷凍

強力な冷却能力により、大量の食品を短時間で冷凍することが可能です。これにより生産効率を大幅に向上させることができます。



まとめ

急速冷凍は、『食品を高品質に保ったまま、長期間の冷凍保存を可能にする』最新技術で、いまでは食品の鮮度や栄養価を保持するために不可欠なツールとなっており、開発する商品に合わせた最適な冷凍機を選ぶことで、生産性の向上と品質保持の実現が可能となります。

この技術を効果的に活用することで、高品質な商品の提供や、生産性の向上、フードロス対策による廃棄コストの削減など、業務改善のみならず環境保護にも貢献することができます。

消費者にとっても、簡単な調理で作りたてさながらのご飯を食べることが出来る冷凍食品は、何事も効率が重視される忙しい現代社会において、非常にマッチしているのではないでしょうか。



『まるごと提案』させて下さい

今回ご紹介した急速冷凍機はもちろんのこと、静岡産業社ならそれらに付随する資材も『まるごと提案』させていただきます。

急速冷凍機が使用用途によって選定が必要であるように、包装資材も商品と包装形態にあった選定が必要です。急速冷凍機の効果を最大限活用するため、包装資材のご提案もさせていただきます。

包材専門チーム、機械専門チームの両方を持つ静岡産業社であればこその、『まるごと提案』によって全て解決させていただきます。

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