プラスチックごみ問題が世界的な課題となる中、私たちの身近な生活に欠かせない使い捨てカトラリーも、そのあり方が大きく見直されています。手軽で便利な存在から、地球環境を考える上での重要なアイテムへと、その役割は変化しつつあります。
今回の記事では、使い捨てカトラリーが直面する現状と、これからの展望について掘り下げていきます。
テイクアウトやデリバリーサービスの普及は、私たちの食生活を豊かにしました。しかし、それに伴い、使い捨てプラスチック製品、特にスプーンやフォークの使用量は飛躍的に増加しました。これらのプラスチックごみは、適切に処理されなければ、焼却時の二酸化炭素排出や、海に流出して海洋生物の命を脅かす深刻な問題を引き起こします。
環境省によると、1950年以降に世界で生産されたプラスチックは83億トンを超え、63億トンがごみとして廃棄されています。そのうち回収されたプラスチックごみの79パーセントが埋め立てか海へ投棄されており、毎年約800万トンのプラスチックごみが海に流出しているとされています。海へ流出したプラスチックにより、海の生物たちの命を脅かすだけでなく、その豊かな自然で成り立っている漁業・養殖業や観光業にも大きな影響を与えています。
そんな問題の中、日本は世界でも有数の「プラスチックごみ大国」とされています。2019年には1年間で822万トンのプラスチックが廃棄されており、そのうち47.5%が使い捨て用途の容器・包装類とされています。また、2018年6月に発表された国連環境計画(UNEP)の報告書によると、1人あたりのプラスチック容器包装の廃棄量を国別で比較した場合、日本はアメリカに次いで世界第2位の「年間32キロ」となっており、実は日本がプラスチックごみ大国だったと大きな注目を集めました。
一般的にプラスチックの多くは、石油由来の原料によって製造されており、限りある化石燃料を原料としながら、採掘や生産、廃棄など、全ての段階において CO₂ が発生しているため、環境に大きな負荷を与えていると深刻な問題となっています。
地球環境への影響についての詳しい記事はこちら ⇒環境配慮型容器とは?環境問題と環境配慮設計について詳しく解説
こうした状況に対し、国は2022年4月1日に「プラスチック資源循環促進法」を施行するという形で動き始めました。この法律は、プラスチックに関わる全ての事業者に対し、廃棄物の削減やリサイクルを促すことを目的としています。具体的には、フォーク、スプーン、ストローなど、特定の12品目の使い捨てプラスチック製品について、その使用の合理化が求められるようになりました。この法規制は、企業だけでなく、私たち消費者にも、日々の小さな選択を見直すきっかけを与えています。
プラスチック資源循環促進法についての詳しい記事はこちら ⇒プラスチック資源循環促進法とは?事業者に求められる取り組みを解説

法律の施行を受け、多くの企業が環境負荷の低減に向けた具体的な行動を起こしています。その動きは主に、「有料化」と「素材の代替」という2つの方向性で進んでいます。
使い捨てカトラリーの有料化は、消費者の行動変容を促す強力な手段です。すでに一部の大手コンビニエンスストアや外食チェーンでは、カトラリーの無料提供を止め、有料での提供を始めています。例えば、ある大手外食チェーンでは、レジ袋と合わせてカトラリーを1本10円で有料化し、年間でプラスチック使用量を大幅に削減する目標を掲げました。また、スイーツ店などでも、スプーンを1本数円で提供する事例が増えています。
この有料化は、プラスチックの使用量を減らすという環境面での大きなメリットがある一方で、企業にとっては新たな課題も生んでいます。有料化にすることで、カトラリーを辞退する消費者が増え、過剰に仕入れたカトラリーが在庫として残ってしまうリスクです。環境への貢献とビジネスの効率性の両立が、今後の重要なテーマとなっています。
有料化と並行して進むのが、環境に優しい素材への切り替えです。企業は、プラスチックの使用量を減らすために、カトラリー自体を軽量化したり、プラスチック以外の素材への代替を進めたりしています。この動きは、消費者にとっても新たな選択肢を与えています。

現在、市場には様々なエコ素材のカトラリーが登場しています。それぞれの特徴を理解することが、用途に合った最適なカトラリーを選ぶ上で重要です。
自然のぬくもりが感じられる温かい風合いが魅力です。プラスチックを使用しないため、環境への配慮が一目でわかります。土に還る生分解性も大きなメリットです。
・プラスチックを使わないため、環境に優しいイメージがある。
・自然素材ならではの温かみと質感が魅力。
・サイズや形状のバリエーションが豊富。
・天然素材ゆえ、ささくれが発生することがある。
・樹木や竹特有の匂いが、食品の風味に影響を与える可能性もある。
非常に軽量で、印刷によるデザインの自由度が高いのが特徴です。また、木・竹に比べてささくれの心配がありません。
・プラスチックを使用しない。
・軽くて持ち運びやすい。
・印刷が可能で、デザイン性が高い。
・耐水性や強度が低く、水分を多く含む食品や硬い食品には向かない。
・長時間水に触れるとふやけてしまい、使い物にならないことがある。
サトウキビの搾りかすを原料とした非木材パルプです。廃棄物を再利用するため、資源の有効活用という点で非常に優れています。
・植物由来の天然素材。
・耐油性・耐水性があり、水分や油分が多い食品にも安心して使用できる。
・独特の風合いがあり、バガス製の容器と合わせると統一感が出る。
・(一般的に)特有の質感や匂いが、人によっては気になることがある。
トウモロコシなどの植物由来の原料を一部に含むプラスチックです。石油由来のプラスチックの使用量を減らしつつ、従来のプラスチックに近い使い心地を実現しています。
・通常のプラスチックに近い強度や使いやすさを維持できる。
・CPLA(結晶化ポリ乳酸)製スプーンは、約85℃までの高い耐熱性を持つ。
・ハンドルに穴を開けてプラスチック使用量を削減するなど、メーカー各社が工夫を凝らしている。
・完全な非プラスチックではないため、完全な脱プラスチックを求める場合には不向き。
使い捨てカトラリーは、単なる便利な道具ではなく、環境問題への意識を映し出す鏡となりました。有料化や環境に優しい素材への切り替えは、企業だけでなく私たち消費者にも行動の変化を促しています。
私たちは、カトラリーの素材や背景を知り、用途やコスト、環境への配慮を総合的に考えて最適なものを選ぶ責任を求められています。マイカトラリーの携帯や不要なカトラリーの辞退など、一人ひとりの小さな行動が大きな変化を生み出す力となります。
これからの時代は、「便利さ」と「持続可能性」を両立させることが重要です。使い捨てカトラリーの未来を考えることは、私たち自身のライフスタイルを見つめ直す良い機会となるのではないでしょうか。
日本だけでなく、全世界で環境問題への関心が高まっており、企業は環境問題への取り組みを行う必要があると言えます。
静岡産業社では、包装資材専門のチームを設けており、様々な環境配慮商品を取り扱っています。また、SDGsの実現に向け、環境問題へも積極的に取り組んでいます。環境に配慮した商品は容器だけでなく、備品やその他の副資材にも多くありますので、お客様のニーズに沿ったご提案をさせていただきます。
環境配慮商品を導入する際は、お気軽にご相談ください。