お店の売上を伸ばすために「新メニューの開発」や「販促キャンペーン」に力を入れるのは素晴らしいことですが、意外と見落としがちなのが「売り場の作り方」です。
飲食店におけるテイクアウト販売や、店舗の一角での物販。これらは「ただ置けば売れる」というものではありません。お客様の視線の動き、歩くルート、そして心理状態を計算し尽くした「売れる売り場」には、共通する「勝ちパターン」が存在します。
今回は、飲食店の店主様や店長様がすぐに実践できる、科学的根拠に基づいた「売れる売り場づくり」の鉄則をご紹介します。
飲食店が物販や弁当販売を行う際、多くの人が「味」や「価格」にフォーカスします。しかし、実はお客様が商品を購入するかどうかを決める情報の**8割以上は「視覚」**に依存していると言われています。
どんなに美味しいお惣菜でも、暗い隅っこに乱雑に置かれていれば魅力は半減します。逆に、適切にライトアップされ、選びやすい高さに並べられた商品は、お客様の「あ、これも買っていこうかな」という無意識の欲求を引き出します。
「売れる売り場」とは、お客様に**「ストレスを感じさせず、ワクワクさせながら、自然と商品に手を伸ばさせる空間」**のこと。これを実現するための具体的な手法を次から見ていきましょう。

売り場づくりの大原則、それは「客動線を長く、スタッフ動線を短く」することです。
売上の方程式は「客数 × 客単価」ですが、客単価を上げるには**「お客様の店内滞在時間を延ばすこと」**が近道です。滞在時間が長ければ長いほど、お客様が目にする商品の数は増え、比例して購入率も上がります。
人気の商品や、その店自慢の看板メニュー(目的買いされるもの)は、あえてお店の「奥」に配置します。そこに行くまでの過程で他の商品が目に入るように設計するのです。
通路が行き止まりになっていると、お客様は「引き返す」という心理的負担を感じ、回遊を止めてしまいます。円を描くような「回遊性」を持たせることが理想です。
どんなに魅力的な商品があっても、通路が狭くて他のお客様とぶつかりそうになると、お客様はすぐに買い物を切り上げてしまいます。
120cm以上(2人が余裕ですれ違える広さ)
80〜90cm(1人が立ち止まって商品を選べる広さ)
特にベビーカーや車椅子のお客様も想定し、ゆとりを持たせた設計にすることが「優しい=また来たいお店」に繋がります。

棚のどの高さに何を置くか。これだけで売上は30%以上変わると言われています。ここで重要になるのが「ゴールデンゾーン(ゴールデンライン)」です。
人間が最も自然に視線を向け、かつ手を伸ばしやすい高さのことです。
床から約80cm〜160cm
床から約70cm〜150cm
この範囲内に、お店が「今一番売りたい商品」や「利益率の高い商品」を配置します。
視認性は高いですが、手は届きにくい。ここでは遠くからでも目立つパッケージや、ディスプレイ用の大きな写真を配置して「アイキャッチ(視線誘導)」に使います。
重いもの、大容量パック、あるいは「わざわざ探してでも買う」定番品(調味料や飲料のストックなど)を配置します。
お客様は棚を見る際、左上から右下へ「Z」の文字を描くように視線を動かします。そのため、一番左上には「最も注目してほしい新商品」を置き、右下には「締め」となる商品やまとめ買いを促すものを置くのが定石です。

飲食店が提供する商品の最大の武器は「美味しそう!」という直感的な魅力、いわゆるシズル感です。
商品は平坦に並べるのではなく、高低差をつけることで「活気」が生まれます。
後ろの什器を高くし、前の商品を低くすることで、全ての商品が隠れずに見えます。
おにぎりやコロッケなどは、カゴに山積み(ボリューム陳列)にすることで「今できたばかり」「売れている」という活気を演出できます。
お弁当や惣菜の売り場では、この3色が揃っているか確認してください。赤は食欲をそそり、黄は明るさを出し、緑は鮮度を感じさせます。茶色い揚げ物ばかりの時は、パプリカや大葉などの彩りを加える工夫が不可欠です。
料理を最も美味しく見せるのは、温かみのあるオレンジ系のライトです。青白い光は鮮魚には向きますが、お肉やお惣菜の美味しさが伝わりにくくなるため注意が必要です。。

お客様の「ついで買い」は、売上を底上げする強力なブースターです。
「これと一緒に食べたら美味しいだろうな」というストーリーを売り場で作ります。
例: 唐揚げの横に自家製のタルタルソースを置く。
例: 弁当の横に、ちょうどいいサイズのミニサラダや漬物を置く。 わざわざ他の棚へ移動させる手間を省いてあげることで、購入のハードルが劇的に下がります。
会計時、財布を出している瞬間はお客様の心理的ガードが最も下がる「ホットスポット」です。
例:100円〜300円程度の小菓子、ドレッシング、ティーバッグを置いてみる。
「あと一品」にちょうどいい、小分けの副菜。 ここで「あ、これもついでに」と思わせる仕掛けを常に用意しておきましょう。

POPは「声を出さない接客スタッフ」です。ただ「唐揚げ 400円」と書くだけでは不十分です。
お客様が知りたいのは「なぜこの商品が良いのか」という理由です。
ハンバーグ弁当 800円
3時間じっくり煮込んだ!箸で切れる「とろとろハンバーグ」 800円 擬音(とろとろ、サクサク)や数字(3時間、10種類)を入れると、脳内にイメージが湧き、食欲が刺激されます。
「誰に向けた商品か」を明示すると、自分事として捉えてもらえます。
「今晩のおかず、あと一品に迷っているお母さんへ」
「お酒のおつまみに最高!店主一押しのピリ辛煮!」
このように呼びかけることで、商品が「単なる物」から「解決策」に変わります。

「売れる売り場」は、一度作って終わりではありません。
スカスカの棚は「不人気」「やる気がない」印象を与えます。完売しそうな時でも、残りの商品を前の方に詰めて(前出し)、ボリューム感を維持しましょう。
どんなに理論に基づいたレイアウトでも、棚にホコリがあったり、POPがボロボロだったりすれば台無しです。
まずは明日、「お客様の目線」で入り口から店内を一周歩いてみてください。 「通路に圧迫感はないか?」「一番見やすい場所に自信作があるか?」「POPの説明は読みやすいか?」売り場を少し整えるだけで、お店の雰囲気は変わり、お客様の反応も必ず変わります。
小さな工夫の積み重ねが、大きな利益を生む最強の「売り場」を作り上げるのです。
飲食店の物販や弁当販売の成否は、情報の8割を占める「視覚」で決まります。売れる売り場とは、お客様がストレスなくワクワクしながら、自然と商品に手が伸びる空間です。
まず、動線計画では「客動線を長く」し、行き止まりをなくして滞在時間を延ばします。次に視覚心理を活用し、最も手が届きやすい「ゴールデンゾーン(床から70〜160cm)」に戦略商品を配置しましょう。陳列では、高低差を出す「立体陳列」や食欲をそそる「暖色系の照明」でシズル感を演出。さらに、メイン商品の横に関連商品を置く「関連陳列」や、会計時の「レジ横戦略」でついで買いを誘発します。
最後の仕上げはPOPです。「3時間煮込んだ」など価値を具体化し、ターゲットを絞った一言を添えましょう。欠品のない活気ある棚と清潔感を維持し、常にお客様目線で店内を点検することが、利益を生む最強の売り場への第一歩です。
今回ご紹介した「売れる売り場」の理論を実際の店舗で具現化するには、適切な什器や備品の選択が欠かせません。
静岡産業社では、最大3500社からなる幅広い調達先と、155000点以上の取扱商品から、お客様のニーズに合わせてご提案させていただき、膨大な商品群と蓄積されたノウハウの中から、お客様の「勝ちパターン」を一緒に作り上げます。
「今のレイアウトを改善して売上を伸ばしたい」とお考えの店主様・オーナー様は、ぜひお気軽に静岡産業社までご相談ください。