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食品衛生法を遵守するために!改正内容や抑えておきたいポイントを解説。

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食品衛生法を遵守するために!改正内容や抑えておきたいポイントを解説。

目次





「食品衛生法」とは飲食による健康被害の発生を防止するための法律です。2018年に15年ぶりの法改正が行われたのは、食を取り巻く環境の変化や国際文化等に対応して食品の安全を確保するためです。HACCPの制度化や食品用器具・容器包装にポジティブリスト制度が導入されるなど、大きな7つの変更が加えられました。この法改正を理解し対応することは、すべての食品等事業者にとって重要です。 そこで、この記事では改正内容や重要なポイントについて解説します。




食品衛生法 主な7つの改正内容

食品衛生法の改正によって、消費者の安全を守るために様々な制度が導入されました。 以下に、改正された主な内容を7つにまとめて解説します。


1.大規模又は広域に及ぶ『食中毒』への対策を強化

近年、都道府県を横断した広域の食中毒事例が増加しています。そのような食中毒に迅速に対応するため、新たに「広域連携協議会」が設置され、国と自治体の連携が強化されました。



2.『HACCPに沿った衛生管理』を制度化

HACCPとは、食品等事業者自らが食品に関わる全ての工程中に発生しうる危害要因を特定し、それを除去又は低減させるため、特に重要な工程を管理する衛生管理システムです。食品衛生法の改正は2018年に公布、2020年に施行されました。 この改正で『HACCPに沿った衛生管理』が制度化されたため、すべての食品等事業者はHACCPに沿った衛生管理に降り組む必要があります。この施行には1年間の経過措置が設けられ、2021年6月1日より完全施行となりました。 HACCPについて詳しくは下記の記事をご覧ください。

【関連記事】: HACCPとは何か?基本概念と7原則12手順を解説



3.特定の食品による『健康被害情報の届出』を義務化

厚生労働大臣が定める特別の注意を必要とする成分等を含む食品との関連が疑われる健康被害が発生した場合、事業者は行政へその情報を届け出ることが義務化されました。都道府県等の保健所に届け出た内容は厚生労働大臣に報告され、厚生労働省のホームページに公開されます。 健康被害情報の公表により、企業側の健康被害防止への意識を高めることができ、結果として消費者の健康を守る事へ繋がります。



4.『食品用器具・容器包装』にポジティブリスト制度を導入

ポジティブリスト制度とは、食品と直接接触する危惧や容器包装に使用される物質を一度すべて禁止した上で、安全性を評価した物質のみを使用可能とする方法です。従来は使用不可の物質を規制する方法でしたが、安全性に懸念のある新しい物質に対しての登録を行っている間に使用されてしまう恐れがありました。 ポジティブリスト制度であれば、新規の物質を使用する場合は公的に安全性が評価されてからとなるため、安全性がさらに向上します。



5.『営業許可制度』の見直しと『営業届出制度』の創設

食品等事業者は、業態に応じて適切な許可や届出を行う必要があります。従来の食品衛生法では34の製造業、販売業、飲食業等が要許可業種となっていました。要許可業種以外でも一部自治体は条例で届出制度があるものの、それ以外は自治体で把握する仕組みがありませんでした。法改正後は、要許可業種を32業種に再編し、新たに要届出業種を設定しました。温度管理等が必要な販売業や冷凍冷蔵倉庫業等が該当します。 食中毒リスクのある業種を自治体が把握できるようになった為、食品事故が起こってしまった際の対応が今までよりも迅速になりました。



6.食品等の『自主回収情報』は行政への報告を義務化

事業者が自主回収を行う際には、行政機関への報告が義務づけられました。これにより、リコール情報が消費者に迅速に提供され、食品による健康被害の発生を抑えることが期待できます。



7.『輸出入』食品の安全証明の充実

輸出入食品の安全性を確保するため、証明書類の整備や基準の強化が行われました。これにより、日本国内外での食品の信頼性の向上が期待できます。




抑えてきたい食品衛生法のポイント6つ

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食品衛生法には様々な制度や仕組み、ルール等が定められていますが、食品等事業者として最低限押さえておきたい6つのポイントについて解説いたします。


1.食品等事業者の責務と努力義務

食品等事業者は、食品衛生法に定められたルールを尊寿しなければなりません。違反すると営業許可の取り消しや営業停止命令等の行政処分を受ける可能性があり、内容によっては罰金刑や懲役刑にもなりえるため注意が必要です。また、食品衛生法第3条では、食品用事業者の責務として、以下の努力義務を定めています。

・採取し、製造し、輸入し、加工し、調理し、貯蔵し、運搬し、販売し、不特定もしくは多数の物に授与し、または営業上使用する食品、添加物、器具または容器包装(販売食品等)について、自らの責任においてそれらの安全性を確保するため、販売食品等の安全性の確保に係る知識および技術の習得、販売食品等の原材料の安全性の確保、販売食品等の自主検査の実施その他必要な措置を講ずるよう努める(食品衛生法3条1項)。

・販売食品等に起因する食費寧政情の気概の発生の防止に必要な限度において、当該食品等事業者に対して販売食品等またはその原材料の販売を行った物の名称その他必要な情報に関する記録を作成し、これを保存するよう努める(食品衛生法3条2項)。

・販売食品等に起因する食品衛生上の危害の原因となった販売食品等の廃棄その他の必要な措置を適確かつ迅速に講ずるよう努める(食費寧栖鳳3条3項)。



2.食品および添加物に関する事項

食品衛生法第2章(第5条~第14条)では、食品及び添加物の取り扱いに関する事項が書かれています。特に具体的に書かれている第5条と第6条を抜粋して紹介します。


第5条

販売(不特定又は多数の物に対する販売以外の授与を含む。以下同じ。)のように供する食品又は添加物の採取、製造、加工、仕様、調理、貯蔵、運搬、陳列及び授与は、清潔で衛生的に行われなければならない。


第6条

次に掲げる食品又は添加物は、これを販売し(不特定又は多数の物に対する販売以外の授与を含む。以下同じ。)、又は販売のように供するために、採取し、製造し、輸入し、加工し、使用し、調理し、貯蔵し、若しくは陳列してはならない。


一 腐敗し、若しくは変敗したもの又は未熟であるもの。ただし、一般に人の健康を損なう恐れがなく飲食に適すると認められているものは、この限りでない。

二 有毒な、若しくは有害な物質が含まれ、若しくは付着し、又はこれらの疑いがあるもの。ただし、人の健康を損なう恐れがない場合として厚生労働大臣が定める場合においては、この限りでない。

三 病原微生物により汚染され、又はその疑いがあり、人の健康を損なう恐れがあるもの。

四 不潔、異物の混入又は添加その他の事由により、人の健康を損なう恐れがあるもの。



3.器具・容器包装に関する事項

使用する器具及び容器包装について定められているのは第15条と第16条です。第16条のためにポジティブリスト制度が導入されました。


第15条

営業上使用する器具および容器包装は、清潔で衛生的でなければならない。


第16条

有毒な、若しくは有害な物質が含まれ、若しくは付着して人の健康を損なうおそれがある器具、若しくは容器包装又は食品、若しくは添加物に接触してこれらに有害な影響を与えることにより人の健康を損なうおそれがある器具、若しくは容器包装は、これを販売し、販売のように供するために製造し、若しくは輸入し、又は営業上使用してはならない。



4.表示および広告に関する事項

食品表示に関するルールは食品表示法に一元化されましたが、食品衛生法第19条、第20条では、表示および広告に関する具体的な事項が規定されています。「基準に沿った必要な表示がなされていなければ営業上使用してはならない、公衆衛生に危害をおよびす誇大広告や虚偽の広告をしてはならない」と定められています。



5.営業に関する事項

食品事業者は、その事業にあった営業許可または届出が義務付けられています。食品衛生法第9章では、営業上必要な届出に関する事項や措置、衛生管理を行う上で必要な資格などが規定されています。食品を扱う事業を始める際や事業内容を変更する場合は、事前に準備が必要になる事項が多いため、良く確認しておく必要があります。



6.その他の事項

食品衛生法第5章では、食品添加物公定書への添加物の基準や規格の収載、第6章では国・都道府県等による食品衛生に関する監査指導、第7章では検査、第8章では登録検査機関に関するルール、第10章で雑則、第11章で罰則に関する事項が規定されています。




まとめ

食品衛生法の改正により、自治体の管理体制が更新され、食品等事業者に求められる事項にも変化が生じています。特にHACCPの制度化や食品器具・容器包装のポジティブリスト制度の導入によって、食品等事業者が対応すべき事項が多く存在します。 以前よりも食品の安全、衛生に関する消費者の目が厳しくなっているため、法律を正しく理解し、適切な衛生管理を行い、消費者に信頼される製品を提供していきましょう。




食品衛生検査室でHACCPの導入をサポートします

静岡産業社では自社内に食品衛生検査室を設けており、専門知識を有したスタッフによるHACCP導入のサポートが可能です。 HACCPの導入サポートだけでなく、身近な検査室として微生物検査や衛生調査等も行っております。 是非お気軽にご相談ください。


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