- HACCPとは
- HACCPの義務化・制度化
- HACCP導入のメリット
- HACCPシステム導入のための7原則と12手順
- まとめ
- 食品衛生検査室でHACCPの導入をサポートします
食品等事業者自らが食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因(ハザード)を把握した上で、
原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で、
それらの危害要因を除去又は低減させるために特に重要な工程を管理し、
製品の安全性を確保しようとする衛生管理の手法です。
この手法は 国連の国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同機関である、
食品規格 (コーデックス) 委員会から発表され、
各国にその採用を推奨している国際的に認められたものです。
出典:HACCP(ハサップ)|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
食品の安全性を確保するための国際標準の管理システムであるHACCPは、
多くの国や地域において、導入が法的に義務化されています。
日本では、2018年に食品衛生法が改正され、2021年6月からすべての食品事業者に対し、
HACCPに基づく衛生管理の義務化が施行されました。
義務化により全ての食品事業者は、
食品の製造・加工・流通の各段階において危害分析と重要管理点の決定を行い、
科学的かつ系統的な食品安全管理を実施する必要があります。
この制度化によって食品の安全性が向上することから、
国際的な取引においてもHACCPによる衛生管理の導入が求められています。
様々な効果を発揮
食品安全の確保HACCPは予防的なシステムであり、潜在的な危害を特定し管理することによって、
消費者に安全な食品を提供することができます。
HACCPを導入することで、国内外の市場において競争力が向上します。
多くの国際的な取引先がHACCP認証を要求するため、輸出にも対応できるようになります。
HACCPは製造過程の各段階を体系的に管理するため、効率的な運営が可能となり、
無駄や不良品を減らすことができます。
問題発生の予防に重点を置くことで、製品のリコールや廃棄などのコストを削減できます。
また、効率的な運営により、運営コストも削減できます。
HACCPの導入には、従業員の教育とトレーニングが必要です。
これにより、従業員の食品安全に対する意識が向上し、 責任感を持って業務に取り組むようになります。
HACCPは危害を事前に防ぐことを目的としているため、食中毒やその他の健康被害の発生を未然に防止できます。
HACCPは詳細な記録保持を求めるため、 問題が発生した場合に迅速かつ正確に原因を追跡し、
対策を講じることが可能です。
HACCPの導入は食品業界にとって多くのメリットをもたらし、企業の信頼性と持続可能性を高める重要な手段となります。
HACCP プランの作成:HACCP プランの妥当性を確認し作成します。
PRPの手順を定め衛生管理計画を作成:実施状況の確認方法を決めます。
HACCP プランどおりの運用:モニタリングや検証をプランどおりに行い、記録します。
CL から逸脱した場合は改善措置を実施し、記録します。
PRP の衛生管理計画どおりの運用:実施状況を確認し、記録します。不適合があれば修正し、記録します。
HACCP システム全体の検証:定期的および必要な場面で実施します。
PRP の検証:衛生管理計画および手順書の有効性を評価します。
検証結果に基づいて、HACCP システムを維持または修正します。
検証結果に基づいて、衛生管理計画および手順書を維持または修正します。
HACCPシステムは、次の7つの原則に従い、設計、妥当性確認され、実施されます。
ハザード分析を行い、管理手段を特定します。
危害を効果的に管理できる重要管理点(CCP)を決定します。
妥当性確認された管理基準(許容限界、CL)を設定します。
CCPが設定された基準内で運用されているかどうかを監視する方法を決定します。
CCPの管理基準が満たされなかった場合にとるべき改善措置を設定します。
HACCPプランの妥当性確認を行い、次にHACCPシステムが機能している事を確認するための検証手順を設定します。
これらの原則および適用に適切なすべての手順の文書化と記録類を設定します。
HACCPシステムは、食品の製造、加工、流通の全ての段階で適用され、
食品安全を確保するための科学的で系統的なアプローチです。
HACCPシステムを設計、実施、維持するための専門知識を持つチームを編成します。
またHACCPシステムおよび適切なPRPの適用範囲を特定します。
製品の特性、使用方法、保存条件などを詳細に記述します。
抑えておくべき情報として、名称・原材料・使用添加物・消費期限・保存方法・関連する微生物や化学的特性などがあります。
食品事業者が意図する使用法、ならびにフードチェーンの次の食品事業者または消費者によって、
どのように使用されるかを記述します。
製品が製造される過程を示すフローダイアグラムを作成します。
原材料の仕入れから、製造加工を経て、納入先へ引き渡すまでの一連の流れなどの工程図になります。
作成したフローダイアグラムを基に各現場が正確に動いているかを確認し、
必要に応じてフローダイアグラムを修正します。
各製造工程で発生する可能性のある危害要因を特定し、そのすべてをリストアップします。
次にHACCPプランで取り組むべき重要な危害要因を決定します。
リストアップされた危害要因(ハザード)を管理する手段のうち、
重要管理点(CCP)となり得る管理手段を検討します。
重要管理点(CCP)は危害要因分析の結果として、
重要なハザードとして特定されたものに対してのみ決定します。
各CCPに対して具体的な管理基準(CL)を設定します。
この基準によって許容できる製品と許容できない製品を区別することができます。
通常、管理手段に関連した極めて重要なパラメータの最小、又は最大値(温度、水分量、時間、pH、Aw、有効塩素、接触時間、コンベアベルトのスピード、粘度、伝導度、流量等の測定値又は設定の観察等)が用いられます。
この許容限界の管理基準については、科学的に裏付けられた定量的な数値による、
時間や温度などの基準を満たす必要があります。
CCPが管理基準内で運用されているかを監視する方法を設定します。
CCPがCLの範囲内でコントロールされている事を、迅速で正確な物理的、化学的または官能的な測定、
検査を用い、CLが守られていることを確実にするために十分な連続的、または相当の頻度で行います。
管理基準が満たされなかった場合の対応策を設定します。
逸脱原因を修正又は排除してCCPを管理下に戻します。
かつ安全でない可能性のある製品を特定、隔離し、消費者に届かないことを保証します。
妥当性確認(Validation)はHACCPプランの策定時、実施前に行います。
HACCPプランそのものの科学的な検証であり、
このHACCPプラン通りに製造すれば安全にものができるという確認、科学的エビデンスを集めることです。
また検証(Verification)はHACCPプランが適切に稼働しているかをモニタリングの他に確認していくことで、
記録の確認、モニタリングの状況確認、機器の校正、サンプリング検査などが行われます。
またレビュー(Review)も定期的または必要に応じてHACCPシステムの包括的な再点検のために行われます。
HACCPシステムの適用に関連する手順は文章化すべきであり、HACCPシステムの適用には効率的で正確な記録とその保持が不可欠です。
上記のHACCPシステムの運用管理手法に基づいて実施した結果を、工程管理状況記録文書として作成し保管します。
HACCP(危害要因分析重要管理点)は、食品の安全性を確保するための国際標準の管理システムです。
主に製造、加工、流通の各段階で適用されます。危害要因分析(Hazard Analysis)により、
生物的、化学的、物理的な重要な危害要因を決定し、重要管理点(CCP)でその管理を行います。
HACCPを導入することで、食品安全の確保、消費者信頼の向上、市場競争力の向上、効率的な管理、
コスト削減、スタッフの意識向上、事故防止、トレーサビリティの確保など、様々なメリットがあります。
HACCPの実施には7つの原則と12の手順があり、
計画の作成、実行、確認、改善のPDCAサイクルを繰り返していくことで、
食品の安全を管理していく手法となります。
静岡産業社では自社内に食品衛生検査室を設けており、専門知識を有したスタッフによるHACCP導入のサポートが可能です。
HACCPの導入サポートだけでなく、身近な検査室として微生物検査や衛生調査等も行っております。
是非お気軽にご相談ください。