業務用ラップを家庭用ラップと同じ感覚で使うことには「落とし穴」があります。
飲食店や惣菜店、スーパーマーケットのバックヤードなど、プロの調理現場における電子レンジ加熱では「ラップフィルム」は欠かせません。
しかし、新人スタッフやアルバイトが「自宅のラップと同じ感覚」で業務用ラップを扱った場合、ラップが溶けたり破裂したりするトラブルが起きる可能性があります。電子レンジ内でのラップの破裂や溶け落ちは、単なるミスでは済まされません。食材ロス、庫内清掃による提供の遅延、そして最悪の場合は「異物混入」や「従業員の火傷(労災)」といった重大な事故に繋がります。
本記事では、主に飲食店やバックヤードで使われる100m巻前後の手巻きラップを便宜上「業務用ラップ」として扱ったうえで、業務用ラップ特有の性質を理解し、ピーク時のタイムロス削減や事故防止についての具体的な運用ルールと知識を解説します。

電子レンジでのトラブルを防ぐ第一歩は、現在店舗で使用しているラップの「材質」と「耐熱温度」をスタッフ全員が正確に把握することです。ラップには主に以下の5種類があり、それぞれ耐えられる温度が明確に異なります。
ここで注目すべきは、一般家庭ではPVDCなどのラップが広く使われており、業務用ではPVC製ラップが多く採用されています。PVCはPVDCと比較すると耐熱温度がやや低い傾向があり、この違いを理解しておくことが重要です。この10℃の差を知らないことが、現場での溶け落ち事故を引き起こす主な要因の一つです。

100m巻前後の業務用ラップの中でも、特にPVC製ラップを電子レンジで使用する際、最も事故が起きやすいのが「油性の強い食品」の加熱です。水分の沸点は100℃でストップしますが、油分の多い食品は電子レンジ加熱時に局所的に高温になりやすく、ラップの耐熱温度を超えてしまう場合があります。
「豚の角煮」「鶏の唐揚げ」「カレーやシチュー」「チーズを乗せたハンバーグ」などをラップで直接包んで加熱すると、食品の油分や表面部分が局所的に高温になり、ラップの耐熱温度を超えることで、ラップが溶けて食品に貼り付くことがあります。本来食べ物ではないプラスチックの混入は、重大なクレームに直結します。
油性の強い食品(肉、魚、天ぷら、コロッケ等)を加熱する際は、平皿でラップを密着させた状態での加熱は避ける必要があります。
■対策
食材の一番高い部分から「3cm以上のゆとり(空間)」がある深めの耐熱容器を使用する。
■ルール
ラップは食品(特に油分の多い部分)に直接触れないよう、ピンと張ってフタ代わりとしてのみ使用する 。
万が一ラップフィルムが溶けてしまった場合、「人体への悪影響」を懸念されるお客様への対応知識として、正しい事実を把握しておく必要があります。
ラップフィルムには柔軟性を高めるための「可塑剤(かそざい)」が含まれています 。業務用に多いPVC製のラップでは主に「アジピン酸ジイソノニル(DINA)」 、家庭用のPVDC製では「アセチルクエン酸トリブチル(ATBC)」などが使用されています 。
食品安全委員会の報告によると、現在広く使用されているこれらの可塑剤については、通常の使用条件において健康への重大な影響は確認されていません。また、過去に問題視されたノニルフェノール(NP)についても、2000年以降は製造法が切り替えられ、現在市販されている国産ラップからは検出されていません 。
法的な安全性は厳格な試験によって確保されていますが 、それでも「絶対に溶かさないオペレーション」を徹底することがプロの責務です。
保存時の乾燥を防ぐため、容器をラップで完全に密閉(ぴっちりラップ)することがありますが、これをそのまま加熱するのは大変危険です。食材から出た水蒸気の逃げ場がなくなり、ラップが風船のように膨らんで大音量とともに破裂します。
ピークタイムの12時台に、スープやタレの多い煮込み料理が庫内で破裂した場合どうなるでしょうか。食材の廃棄ロスが発生するだけでなく、庫内清掃に数分〜十数分程度の時間がかかることもあり、その間そのレンジを使うすべてのオーダーが完全にストップしてしまいます。
■対策
ラップをかける際は、中央部を少しへこませるように「ふんわり」と余裕を持たせる。
■ルール完全に密閉せず、器の端の1箇所(指1本分、約2cm程度)だけ、あえてラップを密着させず「蒸気の抜け道」を作ってからレンジに入れる。
加熱が無事に終わった直後にも危険が潜んでいます。レンジから取り出した直後の容器内部には、100℃近い高温の蒸気が充満しています。
忙しい厨房内で焦って「自分側(手前)」から一気にラップをめくると、熱い蒸気が顔や腕にダイレクトに吹き出し、従業員が大火傷を負う労災事故になりかねません。
加熱後のラップを外す際は、一般的な火傷防止の基本として、自分とは反対側(奥側)から手前に向かってゆっくりめくるようにします。これにより、高温の蒸気を自分とは反対方向へ安全に逃がすことができます。
近年は、スチームオーブンレンジ(スチコン等)を導入している店舗も多いでしょう。ここで非常に多いミスが「モードの切り替え忘れ」です。
電子レンジ(マイクロ波)機能で下ごしらえをした後、そのままオーブン(ヒーター)機能へと切り替えてグラタンなどを焼き上げる際、ラップをしたまま加熱をしてしまうと、ラップは一瞬で溶け落ちます 。
レシピボードや調理指示書には、機器のモードを切り替える前に「※ここで必ずラップを外す」という工程を大きく明記してください。
飲食店などで使われる100m巻前後の手巻きラップには複数の材質があります。なかでも現場で多く使われるPVC製ラップは、PVDC製ラップに比べて耐熱温度が低い傾向があり、家庭用ラップと同じ感覚で扱うと、溶け落ちや破裂などの事故につながるおそれがあります。
現場の安全と効率を守るため、以下の運用ルールを徹底しましょう。
油分の多い食品は局所的に高温になりやすいため、食材から3cm以上ゆとりがある深型容器を使い、ラップを直接触れさせない。
蒸気の逃げ道を作るため、器の端を指1本分(約2cm)開けてふんわりとかける。
熱い蒸気を安全に逃がすため、ラップは「奥から手前(時計の12時から6時)」へゆっくりめくる。
ラップが溶けるため、オーブン機能を使う際は必ず外す。成分自体の安全性は確保されていますが、絶対に溶かさないオペレーションがプロの責務です。
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