近年、スーパーマーケットやコンビニエンスストアの食品売り場において、少しずつ「変化」が起きていることにお気づきでしょうか。
規格外の野菜を活用して作られたスープ、お肉の代わりに植物性の大豆を用いたハンバーグ、あるいは見慣れない認証マークが印字されたコーヒーなど、単に「価格」や「美味しさ」だけではなく、その背景にある「社会的な意味」をアピールする商品が増加しています。
この変化の中心にあるのが、「エシカル消費」という新しい価値観です。もともとはアパレル業界などの環境・労働問題から広まった言葉ですが、現在では食品業界においても重要かつ変革が急がれるテーマとなっています。
今回は、エシカル消費の意味や、食品業界で進むイノベーション、そして日常のお買い物から実践できる具体的な方法について詳しく解説します。
エシカルという言葉は、直訳すると「倫理的な」「道徳的な」という意味を持ちます。
消費者庁では、エシカル消費を「人・社会・地域・環境に配慮した消費行動」と定義しており、SDGsの目標12「つくる責任、つかう責任」に直結する重要な取り組みです。
お買い物の場面においては、「他者や地球環境への思いやりを持った消費」と言い換えることができるでしょう。
これまで、日本の食品流通は「より安く」「より便利に」「より見た目良く」を追求してきました。
しかしその一方で、以下のような社会課題も生まれています。
・地球温暖化の進行
・大量の食品ロス
・プラスチックごみによる海洋汚染
・開発途上国での低賃金労働
・過酷な児童労働問題
例えば、極端に安価なチョコレートの背景には、カカオ農園での児童労働が存在する可能性があります。
また、見た目が完璧な野菜だけを売り場に並べるために、形が少し不揃いなだけの新鮮な野菜が大量に廃棄されているという現状もあります。
情報化社会の進展により、消費者は商品の「裏側」にある問題を知るようになりました。
その結果、
・「地球環境や誰かを犠牲にして作られた食品は選びたくない」
・「社会課題に誠実に向き合う企業を応援したい」
という価値観へのシフトが進んでいます。
エシカル消費は、持続可能な社会を実現するための新しいスタンダードになりつつあるのです。

食品選びにおけるエシカル消費には、主に4つの視点があります。
私たちが日常的に消費するコーヒー、紅茶、チョコレートなどの原料の多くは、発展途上国で生産されています。
しかし、複雑な流通構造の中で、生産者が不当に低い価格で取引されているケースも少なくありません。
これを改善する仕組みが「フェアトレード(公正な貿易)」です。フェアトレードでは、
・生産者へ適正な対価を支払う
・児童労働を禁止する
・環境配慮型農法を支援する
といった取り組みが行われています。
フェアトレード商品を選ぶことは、生産者の生活向上や自立支援に繋がります。
国内では「農福連携(のうふくれんけい)」も重要な取り組みです。これは、障がいのある方々が農業分野で活躍できる場を創出する取り組みであり、
・農業分野の人手不足解消
・福祉分野の就労支援
の両立を目指しています。
地元で生産された農林水産物を地元で消費する「地産地消」は、環境負荷の低減に直結します。
遠方や海外から食品を輸送するには、
・航空機
・船舶
・トラック
などの輸送エネルギーが必要となり、多くの温室効果ガスが排出されます。
地元食材を選ぶことは、
・輸送によるCO2削減
・地域経済の活性化
・地元生産者の支援
につながるエシカルな選択です。
自然災害などで被災した地域の特産品を積極的に購入する「応援消費」も広がっています。特産品を購入することは、地域経済の復興支援だけでなく、その土地の文化や産業を未来へ繋ぐ力にもなります。
現在、日本国内では年間数百万トンもの「本来まだ食べられる食品」が廃棄されています。この深刻な食品ロス問題に対し、食品業界ではさまざまな技術革新が進んでいます。
近年特に注目されているのが「アップサイクルフード」です。これは、これまで廃棄されていた未利用資源に新たな価値を与え、魅力的な商品へ生まれ変わらせる取り組みです。
例えば、
・野菜の芯や皮を活用したスープ
・卵の殻を再利用したカルシウム強化食品
・パンの耳を活用したクラフトビール
など、さまざまな商品が登場しています。
欧米を中心に注目されているのが「アニマルウェルフェア(動物福祉)」です。これは、効率だけを優先する畜産ではなく、動物が本来の習性に近い環境で暮らせるよう配慮する考え方です。
日本でも、「平飼い卵」を選ぶ消費者が徐々に増えています。
環境負荷低減の観点から、「プラントベースフード(植物由来食品)」も注目されています。畜産業は大量の土地や水を必要とし、温室効果ガスの排出量も多い産業です。
そのため、
・大豆ミート
・植物性ミルク
などを取り入れることは、環境保護につながる有効な手段とされています。

食品メーカーがエシカルな取り組みを進める理由は、単なるイメージアップではありません。企業が持続的に事業を続けるための「経営戦略」でもあるのです。
気候変動や資源枯渇は、食品メーカーにとって「原材料が調達できなくなる」という大きなリスクです。
そのため、
・持続可能な農業支援
・製造工程のロス削減
・環境負荷の低減
は避けて通れない課題となっています。
一方で、消費者に選ばれ続けるためには「おいしさ」が不可欠です。実際に、エシカルな理念に共感しても、最終的なリピート購入の決め手は「味」であることが多くの調査で示されています。
そのため現在の食品業界では、
・大豆ミートの食感再現
・植物性油脂によるバター風味の再現
・植物由来食品の旨味向上
など、「エシカルでありながらおいしい食品」の研究開発が加速しています。
現在の食品業界は、
「環境に良いから仕方なく選ぶ」
ではなく、
「おいしいから選んだ結果、環境にも良かった」
という方向へ大きく進化しています。

持続可能な未来をつくる力は、毎日のお買い物の中にもあります。ここでは、今日から実践できる3つの行動をご紹介します。
すぐに食べる予定の商品は、陳列棚の手前にある賞味期限・消費期限が近いものから選びましょう。新しい商品ばかり選ばれると、手前の商品が売れ残り、食品ロスにつながってしまいます。「すぐ食べるなら手前から」という意識だけでも、大きな食品ロス削減につながります。
商品のパッケージには、さまざまな認証マークが表示されています。 代表的なものには、
・国際フェアトレード認証
・MSC認証
・FSC認証
・レインフォレスト・アライアンス認証
・有機JASマーク
などがあります。
これらは、社会課題の解決や環境配慮に取り組む商品の証です。 商品選びに迷った際は、認証マークを目印にしてみましょう。
形が不揃いな野菜や少し傷のある果物でも、味や栄養価はほとんど変わりません。規格外野菜を選ぶことで、生産者が育てた農産物の廃棄削減につながります。最近では、規格外野菜専用コーナーを設けるスーパーも増えています。
エシカル消費は、決して完璧を求めるものではありません。すべてをオーガニックやフェアトレード製品に変える必要はなく、無理のない範囲で取り入れることが大切です。
例えば、
・10回の買い物のうち1回だけ地元食材を選ぶ
・週1回だけ大豆ミートを取り入れる
・マイボトルを持参する
といった小さな行動でも十分です。こうした日々の積み重ねが、社会を動かし、未来を変えていきます。 毎日の買い物は、「どんな未来を残したいか」を表現する投票とも言えるでしょう。
私たち[静岡産業社]も、食品業界の一員として、安心・安全でおいしい食品を届けることはもちろん、地球環境や生産者の未来にも配慮した商品づくりと技術革新に取り組んでまいります。
次にお買い物をされる際は、ぜひ商品の「裏側にあるストーリー」にも目を向けてみてください。 その小さな選択が、より良い未来への第一歩となります。
近年、食品売り場では、規格外野菜を使った商品や大豆ミート、認証マーク付きの商品など、社会や環境に配慮した食品が増えています。
こうした選び方は「エシカル消費」と呼ばれ、人や社会、地域、環境に配慮した消費行動を指します。食品ロス削減、地産地消、フェアトレード、プラントベース食品などは、その代表例です。
食品メーカーも、持続可能な原材料調達や環境負荷低減に取り組みながら、「おいしさ」との両立を目指しています。消費者も、
・てまえどり
・認証マークの確認
・規格外商品の購入
など、日常の買い物の中で無理なく実践することができます。