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バイオマスプラスチックスとは?注目される背景やメリット・デメリットを解説

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バイオマスプラスチックスとは?注目される背景やメリット・デメリットを解説

目次




バイオマスプラスチックとは?

バイオマスプラスチックとは、原料に再生可能な有機物質源を含んだプラスチックです。 再生可能な有機物資源とは、森林から得られる木材や作物などの植物資源などを指し、これらをバイオマス素材と言います。
石油資源の代わりにバイオマス素材を使用することで、製造時に使用する石油資源が少なくなるため、CO2排出削減効果があると言われています。

世界的にSDGsやサーキュラーエコノミー、カーボンニュートラルへの取り組みが進んでおり、日本でも「プラスチック資源循環戦略」の一環として、バイオマスプラスチックを導入する取り組みが行われています。




バイオマスとは?

バイオマスとは、化石資源を除いた、生物(動植物)に由来する再生可能な有機資源を指します。「生物資源」のことを英語では「バイオマス」と呼ぶためこの名前となっています。

バイオマス素材の例として、木材、サトウキビ、食品廃棄物、家畜などの排泄物などが挙げられます。このようなバイオマス素材を使用することにより、大気中の二酸化炭素の増加を抑制することができ、環境問題への取り組みとして大きな注目を集めています。




なぜバイオマスプラスチックが注目されているのか?

環境問題とプラスチック廃棄物の背景

プラスチックによる様々な地球環境への影響

環境省によると、1950年以降に世界で生産されたプラスチックは83億トンを超え、63億トンがごみとして廃棄されています。そのうち回収されたプラスチックごみの79パーセントが埋め立てか海へ投棄されており、毎年約800万トンのプラスチックごみが海に流出しているとされています。海へ流出したプラスチックにより、海の生物たちの命を脅かすだけでなく、その豊かな自然で成り立っている漁業・養殖業や観光業にも大きな影響を与えています。

そんな問題の中、日本は世界でも有数の「プラスチックごみ大国」とされています。2019年には1年間で822万トンのプラスチックが廃棄されており、そのうち47.5%が使い捨て用途の容器・包装類とされています。

また、2018年6月に発表された国連環境計画(UNEP)の報告書によると、1人あたりのプラスチック容器包装の廃棄量を国別で比較した場合、日本はアメリカに次いで世界第2位の「年間32キロ」となっており、実は日本がプラスチックごみ大国だったと大きな注目を集めました。

一般的にプラスチックの多くは、石油由来の原料によって製造されており、限りある化石燃料を原料としながら、採掘や生産、廃棄など、全ての段階において CO₂ が発生しているため、環境に大きな負荷を与えていると深刻な問題となっています。


ごみ処理問題

2020年3月に発表されたデータによると、2018年度の日本のごみ総排出量は年間4,272万トンで、東京ドーム約115杯分に相当します。この数値は一般廃棄物に限定されており、産業廃棄物を含めるとさらに増加します。

ごみはリサイクル可能なものと不可能なものに分類され、リサイクルされないごみは最終処分場で埋め立てられます。リサイクルされないごみのうち、年間約400万トンが焼却処分後に埋め立てられます。日本は国土が狭いため、最終処分場の確保が難しく、焼却によってごみの体積を減らすことで処分場の寿命を延ばす対策が取られています。焼却後の400万トンという数値は、実際に処理されたごみの一部に過ぎず、リサイクルされないごみはより多く存在しています。

日本では焼却が主流の処分方法のため、その過程で発生する二酸化炭素の排出や、ごみを埋め立てる最終処理場の確保が深刻な問題となっています。


上記の環境問題や日本における状況は様々な問題の一部に過ぎず、また日本だけでなく世界的に取り組む必要がある問題です。このような背景から、バイオマスプラスチックが注目されているのです。




バイオマスマークについて

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バイオマスマークは、生物由来の資源(バイオマス)を10%以上含む商品で、品質や安全性が関連法規や基準を満たしたものに付与される環境ラベルです。認定は一般社団法人日本有機資源協会が行い、審査を経てロゴマークが使用可能になります。このマークは、商品のバイオマス含有率を示す「バイオマス度」(10~100%)も記載されています。

対象商品は、レジ袋や食品容器、文房具、繊維製品など幅広く、物流や包装関連の商品に多く見られます。2023年時点で認定商品数は約1900点にのぼります。ただし、動植物の粗製品や食品、医薬品は対象外です。

バイオマスマークは、環境負荷の低い商品を選ぶための参考となる環境ラベルの一つとして活用されています。




バイオマスプラスチックと生分解性プラスチックの違い

原料の違い

バイオマスプラスチック

バイオマスプラスチックは、生物由来の資源(例: サトウキビやトウモロコシ)を原料とし、製造過程でCO₂削減に寄与する環境にやさしい素材です。


生分解性プラスチック

生分解性プラスチックは、原料が植物由来または化石資源由来の両方があり、使用後に自然界で微生物によって水とCO₂に分解される素材です。



機能の違い

バイオマスプラスチック

バイオマスプラスチックは、分解性とは関係なく、地球温暖化対策として効果がありますが、分解性が低いものもあり、海洋ごみ問題には直接貢献しない場合があります。


生分解性プラスチック

生分解性プラスチックは、自然に分解され、海洋プラスチックごみ問題の解決に役立ちますが、すべてが植物由来とは限らず、化石資源由来の場合はCO₂削減が難しい場合もあります。


用途や特性の制約

バイオマスプラスチック

バイオマスプラスチックは、従来のプラスチックと混ぜても問題ありませんが、分解性を期待する用途には適さない場合があります。


生分解性プラスチック

生分解性プラスチックは、自然に還る特性があり、環境負荷を低減しますが、使用期間が限られるため用途に制約があることや、従来のプラスチックと混ぜると生分解性が失われるという注意点があります。


共通点と総称

これらのプラスチックは、ともに化石資源由来のプラスチックの代替素材として注目されており、「バイオプラスチック」と総称されます。それぞれの特性を理解し、適切な用途で使用することが重要です。




バイオマスプラスチックのメリット・デメリット

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メリット

2018年度の国内プラスチック投入量約992万トンに対し、バイオマスプラスチックの投入量は約4万1千トンと、まだ小規模です。しかし、年々生産能力が向上しており、導入が進む中で環境負荷低減や資源効率化への寄与が期待されています。

バイオマスプラスチックの使用が、持続可能な未来への重要な選択肢といえるメリットをいくつか紹介します。


二酸化炭素排出抑制による温暖化対策

バイオマスプラスチックの原料は植物などの再生可能資源です。植物は成長過程で光合成により二酸化炭素を吸収するため、バイオマスプラスチックを焼却処理する際に発生する二酸化炭素は「カーボンニュートラル」となります。

これにより、プラスチック利用に伴う温室効果ガスの排出を抑え、地球温暖化対策に寄与します。


化石資源への依存度削減

従来のプラスチックの主原料である石油は有限の資源であり、採掘や使用による環境負荷も懸念されています。一方で、バイオマスプラスチックは再生可能な植物資源を原料とするため、繰り返し生産が可能です。

これにより、化石資源の枯渇リスクを軽減し、持続可能な資源循環型社会の実現に貢献します。


環境負荷の低減

バイオマスプラスチックは、従来のプラスチックに比べて原料採取から廃棄に至るまでの環境負荷が小さいのが特徴です。例えば、原料に植物を使用することで、土壌や大気環境の保全にも間接的に寄与します。



デメリット

バイオマスプラスチックは環境負荷を軽減するポテンシャルを持つ一方で、従来のプラスチックに比べ、デメリットや課題も存在します。


生分解性の限界

バイオマスプラスチックの中には非生分解性のタイプも含まれており、すべてが自然に分解するわけではありません。

・海洋マイクロプラスチック問題への効果が限定的
生分解性プラスチックは環境中で分解可能ですが、非生分解性のものは従来のプラスチックと同様、海洋汚染を引き起こす可能性があります。
・CO2削減効果との両立が難しい
環境に全面的に効果を発揮できるのは、生分解性を備えた「バイオマス由来生分解性プラスチック」のみです。


製造コストの高さ

バイオマスプラスチックの製造コストは、従来のプラスチックの1.5~5倍とされ、新しい設備や工場の設置が必要になるため、初期投資が大きな負担となります。製造機器の進歩や生産量の拡大により、将来的にはコストの低減が期待されていますが、現時点では課題となっています。


耐久性や耐熱性の弱さ

バイオマスプラスチックは一般的に耐久性や耐熱性が石油由来プラスチックに劣る場合が多く、繰り返し使用する製品には向いていないことから使い捨て用途が多く、長期的な使用が求められる場合は石油系素材が使われることが多いです。

最近では、100%バイオマス組成で耐久性を向上させた新素材も開発され始めています。


分別回収の難しさ

バイオマスプラスチックの特性を活かすためには、専用の分別回収が必要になりますが、現状の日本ではバイオマスプラスチック専用の分別ルールがないため、他のごみと混ざることで適切な処理が難しくなります。

ヨーロッパでは専用の分別システムが整備されつつあり、日本でも同様の仕組みが求められています。




どのようなものに使用されているのか?

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バイオマスプラスチックは、焼却処分をしても環境への負担が少ないことから、さまざまなものに活用されています。主に使用されているものとしては下記のようなものがあります。

・食品容器包装
・非食品容器包装
・衣料繊維
・電気・情報機器
・OA機器
・自動車

食品包装容器での使用が有名ですが、ペットボトルのラベルなどの非食品容器包装をはじめ、衣服のような衣料繊維としての活用も多いだけでなく、精密機器関連でもバイオマスプラスチックの活用が見られています。

電気・情報機器分野ではCPUなどを納めるPCの外側、OA機器分野では複写機のプラスチック部分、自動車分野ではカーシートやドアトリムなどでも活用されるようになってきています。

代表的かつ身近な例として食品容器包装資材についてご紹介します。


バイオマスプラスチック容器

原料に再生可能な有機物質源を含んだプラスチックを使用した素材で、その素材で作られた容器をバイオマスプラスチック容器と言います。

再生可能な有機物資源とは、森林から得られる木材や作物などの植物資源などを指し、これらをバイオマス素材と言います。

石油資源の代わりにバイオマス素材を使用することで、製造時に使用する石油資源が少なくなるため、CO2排出削減効果があると言われています。



バイオマスレジ袋

バイオマスプラスチック製の袋が広く普及した理由の一つに、2020年7月1日から全国の小売店で義務化されたプラスチック製レジ袋の有料化が挙げられます。

当時、多くのスーパーやコンビニで使用されていたのは、石油由来のプラスチック製レジ袋でした。しかし、これらのレジ袋のポイ捨てによる海洋プラスチックごみの問題や、焼却処分時に発生する二酸化炭素が課題となっていました。そのため、レジ袋が本当に必要かを消費者に考えてもらい、過剰な利用を抑える目的でレジ袋の有料化が施行されました。

使い捨てプラスチックの削減という観点から、有料化は一定の効果を上げました。ただし、石油由来のプラスチック袋を使用し続ける限り、枯渇性資源の利用や焼却時の二酸化炭素排出の問題は解決されません。

このような背景の中、一部の企業が環境負荷を軽減するため、石油由来のレジ袋に代わり、バイオマスプラスチック製のレジ袋を採用し始めました。さらに、バイオマスプラスチックが25%以上配合されたレジ袋は有料化の対象外となったことも、普及を後押しする要因となりました。




まとめ

バイオマスプラスチックは、植物由来の再生可能資源を原料としたプラスチックで、石油資源を節約しCO₂排出削減に寄与します。植物資源を用いるため、製造から廃棄までの環境負荷が低く、カーボンニュートラルな特性が地球温暖化対策として注目されています。特に、日本ではプラスチック資源循環戦略の一環として導入が進められています。

世界的なSDGsやカーボンニュートラル推進の中、従来のプラスチックが引き起こす環境問題が深刻化しています。日本はプラスチック廃棄量が多く、そのうち大部分が使い捨て用途であり、埋立や焼却処分が一般的です。これらはCO₂排出や最終処分場不足といった問題を伴うため、より持続可能な代替素材としてバイオマスプラスチックが期待されています。

バイオマスプラスチックの利点は、CO₂排出抑制、化石資源への依存度削減、環境負荷低減が挙げられます。しかし、製造コストの高さ、耐久性の不足、生分解性の限界、分別回収の難しさといった課題もあります。特に生分解性に関する技術進歩や分別ルール整備が求められます。

バイオマスプラスチックは食品容器、衣料繊維、情報機器、自動車部品など幅広く活用されています。例えば、2020年のレジ袋有料化を契機に、環境負荷軽減を目指してバイオマス製レジ袋が普及しました。

今後も技術進化とともに市場拡大が期待されています。




環境問題に取り組んでみませんか?

日本だけでなく、全世界で環境問題への関心が高まっており、企業は環境問題への取り組みを行なう必要があると言えます。食品業界の企業においては環境問題への取り組みの第一歩として、バイオマス容器やバイオマスレジ袋など、バイオマス素材が含有された製品の導入が、比較的取り組みやすい対策の一例です。

静岡産業社では、包装資材専門のチームを設けており、様々な資材を取り扱っています。 また、SDGsの実現に向け、環境問題へも積極的に取り組んでいます。環境に配慮した商品は容器だけでなく、備品やその他副資材などにも多くありますので、お客様のニーズに沿ったご提案をさせていただきます。

環境に配慮した製品をお探しの際は、お気軽にご相談ください。
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