食品トレーを回収してリサイクル！その目的と仕組みとは？

スーパーマーケットやコンビニでおなじみのプラスチックの食品トレー、皆さんはどのように処分していますか？実は食品トレーはリサイクルすることが可能です。多くのスーパーマーケットではリサイクルボックスを設置し、トレー回収を行っています。

では、トレー回収の仕組みはご存じでしょうか？この記事では、リサイクルボックスを使用したトレー回収の目的や仕組み、食品トレーのリサイクル方法などについて解説していきます。

食品トレー回収の目的

日本は高度成長期以降、「大量生産・大量消費・大量廃棄」によって発展しましたが、この結果、廃棄物の増加が続き、最終処分場の不足が問題となっています。

日本では焼却処理が主流のため、ごみの体積を減らすことで埋め立て最終処分場の寿命を延ばしていますが、最終処分場がひっ迫し、焼却設備の立地がますます困難な状況となっています。 生産者として、消費者として、どのように廃棄物処理の問題に対応していくのかが、将来に向けた環境の維持と、日本経済の持続的な発展にとって、廃棄物の発生抑制やリサイクルの推進が重要な課題となっています。

このような背景から、平成7年に「容器包装リサイクル法」が制定されました。この法律は、家庭ごみの約6割を占める容器包装廃棄物を資源として有効活用し、廃棄物の削減や資源の有効利用を促進することを目的としています。その一環として、食品トレーの回収が進められ、多くの環境問題への取り組みが行われています。

食品トレー回収の重要性

食品トレーは、その鮮度保持、軽量性、衛生性、商品の保護性、および成形加工適性といった優れた特性によって、食品流通において欠かせない存在となっています。現在では、年間で約10万トン、枚数にして125〜200億枚が生産されるほど需要が高まっています。

使い捨てからリサイクルへ

食品トレーは、「使い捨て」として扱われていましたが、ごみ問題が顕在化したことや、廃棄時にかさばることが問題視されるようになりました。これに伴い、消費者からの回収要望が強まっていきました。これを受け、スーパーなどの量販店や包装資材店が協力することで、1990年から使用済み食品トレーの店頭回収とリサイクル活動が始まりました。

この「自主的回収リサイクル」は、現在も広く実施されています。

食品トレーの回収ルート

食品トレーの回収ルートには以下の4つがあります。

１．スーパーの店頭から物流センター経由でトレイメーカーに送るルート
２．スーパーの店頭から包装資材店経由でトレイメーカーに送るルート
３．学校からトレイメーカーに送るルート
４．行政からトレイメーカーに送るルート

特に1と2のルートが全体の9割以上を占めており、主要な回収経路として活用されています。

リサイクルの広がりと重要性

この回収リサイクルの仕組みは、企業や店舗、消費者が一体となって行う取り組みであり、環境保護や資源の有効活用につながっています。使用済み食品トレーを資源としてリサイクルすることで、ごみの減量と新規資源の消費抑制に貢献し、持続可能な社会の実現に向けた重要な一歩となっています。

食品トレー回収のメリット

食品トレーのリサイクルは、日常生活の中で簡単に取り組める行動でありながら、さまざまなメリットをもたらします。食品トレーリサイクルの具体的な効果と、その意義について詳しく説明します。

1. ごみの減量

使用済み食品トレーを回収してリサイクルすることで、廃棄物の量を大幅に削減できます。食品トレーはリサイクル可能な資源として再利用され、新たなトレーや他の製品に生まれ変わります。このプロセスにより、廃棄物処理場や埋立地に送られるごみの総量を減らし、地域社会のごみ問題の軽減にもつながります。

2. 資源の有効活用

リサイクル活動を進めることで、限られた天然資源の消費を抑制できます。食品トレーを「地上資源」として捉え、繰り返し使用することで、原油などの地下資源の採掘を減らし、資源の枯渇を防ぐことが可能です。この考え方は持続可能な社会の構築に直結します。

3. エネルギーとコストの削減

食品トレーを含むリサイクルは、新しい製品をゼロから作るよりもはるかに少ないエネルギーで済みます。例えば、アルミニウムのリサイクルでは、新規製造に比べ97%ものエネルギーが節約されるというデータがあります。同様に、食品トレーのリサイクルも、製造時のエネルギー消費やコストの削減に大きく貢献しています。

4. 温室効果ガスの削減

リサイクルの取り組みにより、原材料の採掘や精製プロセスが減少することで、化石燃料の燃焼が抑えられ、温室効果ガスの排出削減につながります。地球温暖化対策の一環として、リサイクルは重要な役割を果たしています。

5. 生態系の保護

廃棄物の減量や資源再利用は、森林や海洋を含む自然環境の保護にも寄与します。特に、廃棄物の不適切な処理が原因で起こる海洋プラスチック問題や森林破壊を軽減する効果が期待されます。

食品トレー回収の仕組み

食品トレーの回収場所

食品トレーの回収場所は身近なところにあり、手軽にリサイクルが可能です。スーパーマーケットが主な設置場所となりますが、区役所や市役所、市民センターなどの公共施設に設置されていることもあります。自治体のウェブサイトで「トレー回収場所」を確認すると、より詳細な回収スポットを見つけることが可能です。

食品トレーのリサイクルをする際には無理をせず、持ち運びに負担がない分だけを少しずつ持ち寄る方法がおすすめです。また、リサイクルボックスには締め切りや設置期間がないため、自分の都合の良いタイミングで出せるという利点もあります。

回収したトレーのその後

回収された食品トレーは、新しい製品として再利用され、私たちの生活に役立つ形で戻ってきます。その工程は意外と丁寧で、いくつもの段階を経て進められます。

1.選別

回収された食品トレーはリサイクル工場に運ばれ、最初に行われるのが「選別作業」です。この工程では、リサイクル可能なトレーかどうかを判断し、不適切なものを取り除きます。また、トレーは白いものと色柄付きのものに分けられます。この細かな分類が、リサイクルの質を保つための重要な作業であり、実際には最も手間がかかる部分でもあります。

2.粉砕・洗浄

選別が終わると、トレーは細かく粉砕され、異物を取り除きながら何度も水で洗浄されます。ここでは、食品の残りカスや汚れが徹底的に取り除かれ、清潔な状態に戻ります。その後、消毒・殺菌・脱水が行われ、衛生面にも配慮された状態にします。

3.ペレット化

最後に、熱を加えて粒状の「ペレット」と呼ばれるプラスチックの原料に加工されます。この「ペレット」は、新たな食品トレーや卵パックなど、再び私たちの身近な製品として使われるだけでなく、文房具やハンガー、公園のベンチ、時には建築資材など、幅広い分野で利用されます。

4.再商品化

これにより、リサイクルされた食品トレーは、単なる廃棄物ではなく、ペレットになることで新しい価値を生む資源へと生まれ変わります。


食品トレーのリサイクルは、環境負荷を軽減し、資源を有効活用する仕組みの一環です。私たち一人ひとりが少し気を付けるだけで、これらのトレーが再利用され、循環型社会の実現に貢献することができます。

回収ボックスを使用する際の注意点

回収ボックスを使用する際には、次の準備とポイントを押さえておきましょう。きちんと準備することで、リサイクルがスムーズになり、環境への配慮を無駄にすることもありません。

1. 食品トレーのみの状態にする

トレーに付いている値札シールやラップはすべて外しておきます。これらがついたまま回収ボックスに入れると、処理の際に火災などの危険を生じることがあります。

2. 汚れを落として水洗いする

食品の汚れが付着したままではリサイクルできません。軽く水洗いするだけでも十分ですが、頑固な汚れがある場合はぬるま湯につけておくと落としやすくなります。魚などのにおいが気になる場合は、中性洗剤を1〜2滴加えて浸け置きしましょう。

3. しっかり乾かす

洗ったあとは、トレーを乾燥させてから回収ボックスに持って行きます。湿った状態のトレーはカビの原因となり、リサイクルが難しくなる場合があります。

4. リサイクル可能か確認する

食品トレーが発泡スチロール製であることを確認してください。爪楊枝を刺してスッと入ればOK。また、回収ボックスに入れる前に手で折ってみるのも簡単なチェック方法です。

手軽に続けるための工夫

毎回トレーを洗って乾かす作業が面倒に感じたら、使用後すぐにぬるま湯につけておく習慣をつけると楽になります。ある程度トレーが溜まったらまとめて回収ボックスに持って行くようにしましょう。

エフピコ方式の食品トレーリサイクル

（引用元：エフピコ方式のリサイクル｜食品トレー容器のエフピコ）

1980年代、全国の市町村でゴミ処理の問題が深刻化する中、食品トレーの製造メーカーであるエフピコは、1990年に「エフピコ方式」のリサイクルを開始しました。

特に注目されるのは、使用済み食品トレーやPETボトルを原料に戻し、新しい食品トレーや透明容器を製造する「トレーtoトレー®」、「ボトルto透明容器™」という独自の循環型リサイクルシステムです。エフピコはこの技術を世界で初めて実現し、リサイクルの先駆けとして歩み続けています。

リサイクルの成功は、エフピコだけでなく、消費者やスーパー、物流業者との連携によって支えられています。消費者が洗って乾かした食品トレーをスーパーの回収ボックスに持ち込み、それをエフピコがトラックの帰路で回収するという効率的な仕組みによって、多くの使用済み容器がムダなくリサイクルされています。

しかし、現在の食品トレー回収率は約30％にとどまっており、さらなる取り組みが必要とされています。エフピコでは、原油などの地下資源に対し、使用済み容器を「地上資源」と位置付け、これを繰り返し利用することで環境負荷を減らす活動を推進しており、消費者や企業が一体となったこの取り組みは、持続可能な社会の実現に向けた重要な一歩となっています。

まとめ

食品トレーは、軽量で衛生的、鮮度保持性に優れた食品流通に欠かせない資材です。しかし、廃棄物問題が顕在化したことを背景に、1990年から「自主的回収リサイクル」が開始されました。現在では、スーパー店頭から物流センターや包装資材店を経由してトレイメーカーに送られる回収ルートが全体の9割以上を占めています。これにより、食品トレーが資源として再利用される仕組みが確立されています。

回収された食品トレーはリサイクル工場に運ばれ、選別、洗浄、殺菌などの工程を経て、プラスチック原料「ペレット」に加工されます。このペレットは、新しい食品トレーや卵パック、文房具、建築資材など、多岐にわたる製品に再利用されます。このプロセスは、ごみの削減や資源の有効活用に大きく貢献しています。

さらに、食品トレーのリサイクルは、温室効果ガスの削減や生態系保護にも寄与します。特に、エフピコが推進する「トレーtoトレー®」は、使用済み容器を「地上資源」として再利用する循環型リサイクルの一例で、持続可能な社会の構築を目指した取り組みとして注目されています。

消費者もこの循環の一翼を担うことができます。汚れを落として乾燥させた食品トレーを回収ボックスに持ち込むだけで、リサイクル活動に参加できます。日常生活の中で手軽に取り組めるこの行動が、持続可能な社会への大きな一歩となります。

環境に配慮した包装資材ならお任せください

日本だけでなく、全世界でリサイクル問題への関心が高まっており、企業はリサイクル問題への取り組みを行なう必要があると言えます。

静岡産業社では、包装資材専門のチームを設けており、リサイクルに適した容器や、再生素材を使用した容器などを幅広く取り扱っています。環境に配慮した商品は容器だけでなく、備品やその他副資材などにも多くありますので、お客様のニーズに沿ったご提案をさせていただきます。

SDGsの実現に向け、環境問題にも積極的に取り組んでいますので、リサイクルしやすい商品をはじめ、環境に配慮した資材を導入する際は、ぜひお気軽にご相談ください。

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