1. HOME
  2. シズサンのプラスワン
  3. 最新記事一覧
  4. 食品容器のリサイクルとは?メリットと世界の施策について解説

食品容器のリサイクルとは?メリットと世界の施策について解説

公開日時 : 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
食品容器のリサイクルとは?メリットと世界の施策について解説

目次




食品包装容器の廃棄問題

日本は高度成長期以降、「大量生産・大量消費・大量廃棄」によって発展しましたが、この結果、廃棄物の増加が続き、最終処分場の不足が問題となっています。

特に食品包装容器はプラスチック製が多く、1950年以降、世界で生産されたプラスチックは83億トンを超え、その63億トンが廃棄されています。
そのうち、回収されたプラスチックごみの79%が埋め立てや海洋投棄されており、毎年約800万トンが海に流出しているといいます。

日本では焼却処理が主流のため、ごみの体積を減らすことで埋め立て処分場の寿命を延ばしていますが、限界が近づいているため、廃棄物の発生抑制やリサイクルの推進が急務となっています。
特に、一般廃棄物の大半を占める容器包装廃棄物の処理が大きな課題となっています。




リサイクルの重要性

食品容器に使用されるプラスチックのリサイクルが必要な理由の1つに、「パリ協定」があります。
パリ協定は、2020年以降の気候変動対策として、世界約200ヶ国が合意した国際的な枠組みです。
産業革命以前に比べて地球温暖化が進み、2050年までに気温が約4℃上昇する恐れがある中、これを1.5℃以内に抑えることを目指しています。

具体的には、温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする目標が掲げられており、プラスチックに関しては、2025年までに使い捨てプラスチックを50%削減、2030年までに80%削減する目標が設定されています。
また、日本では1960年代からプラスチック容器の使用が広まりましたが、当時は環境への配慮が不足しており、家庭ごみの約6割を容器包装廃棄物が占めるまでに至りました。

1990年代に入り、環境問題への関心が高まる中、1991年に「再生資源利用促進法」、1995年には一般廃棄物の減量と、資源の有効活用の確保を図る目的で、「容器包装リサイクル法」が制定されたことにより、資源ごみの回収システムが構築され、プラスチックのリサイクルが推進されています。




食品包装容器リサイクルのメリット

リサイクル3.jpg

資源の有効利用

食品容器をリサイクルすることで、再利用可能な資源を活用し、限られた天然資源の有効利用が可能になります。
新たな原材料の採掘や製造を抑えることで、資源消費を大幅に削減できます。
例えば、アルミ缶や紙のリサイクルは、鉱山資源や森林資源の採取を減らすことに貢献します。


廃棄物削減

食品容器のリサイクルは、廃棄物の量を減らし、ごみ処理場や最終埋め立て地の使用を抑制します。
これにより、地域の環境問題や廃棄物処理にかかる負担が軽減されます。


エネルギーやコストの節約

再生素材を新しい製品に再利用することで、製造に必要なエネルギーやコストの節約が可能です。
例えば、アルミニウムのリサイクルでは、新規アルミニウムの製造と比較して97%のエネルギーが節約できます。




食品包装容器の主な種類

プラスチック容器

プラスチック容器は、特に「PETボトル」の登場により急速に需要が増加しました。
軽量で丈夫、密閉性が高いため、飲料などで従来の缶やガラス瓶に代わって広く使用されるようになりました。
清涼飲料を中心に使用されていますが、最近ではワインなどのアルコール飲料や調味料、医薬品にもプラスチックボトルの採用が拡大しています。


紙容器

紙容器は、牛乳パックや紙製の食品包装容器など、段ボールや飲料用紙容器を除く紙製の容器包装を指します。
「主として紙製」とは、複数素材からなる容器包装の中で、紙が主な成分となっているものを指します。
紙とプラスチック、アルミ箔などを組み合わせた容器も含まれます。


ガラス瓶

ガラス瓶には「ワンウェイ瓶」と「リターナブル瓶」の2種類があります。
「ワンウェイ瓶」は一度使用して廃棄されるタイプで、主に清涼飲料水や栄養ドリンクに使用され、リサイクルされます。
「リターナブル瓶」は回収後に洗浄・消毒され、再利用されるもので、一升瓶やビール瓶、牛乳瓶に使用されています。




素材ごとのリサイクル方法とメリット・デメリット

リサイクル1.jpg

プラスチック容器のリサイクル


マテリアルリサイクル(廃プラスチックから新たな製品を作る)

マテリアルリサイクルは、廃棄されたプラスチックを粉砕・加熱し、再び製品の原料として利用する方法です。

使用済みのペットボトルを作業着やユニフォームにリサイクルする例があり、廃棄物を資源として再利用できる点がメリットです。

しかし、同一素材での処理が求められるため、分別や異物除去に手間とコストがかかることがデメリットです。

身近な食品トレー企業の例として、株式会社エフピコ様では、食品トレーやPETボトルをリサイクルして、新たな食品トレー容器を作る「循環型リサイクル」を行っています。
このリサイクル方式は「トレーtoトレー®」や「ボトルto透明容器™」と呼ばれ、使用済みのトレーやPETボトルを回収して原料に戻し、再び食品トレー容器として使用する仕組みです。
エフピコは、世界で初めて使用済みトレーを食品トレー容器に再生する技術を実現し、持続可能なリサイクルに取り組んでいます。
この「エフピコ方式」は、環境に配慮したリサイクルの一例として注目されています。



ケミカルリサイクル(廃プラスチックを原料に分解し再利用する)

ケミカルリサイクルは、廃プラスチックを化学的に分解し、他の化学物質に再生する方法です。

例えば、プラスチックをガス化して炭化水素や一酸化炭素を取り出すことが可能です。
マテリアルリサイクルと同じで、廃プラスチックを資源として再利用できることが大きなメリットであるといえます。

高度な技術と知見が必要なため、導入コストが高いことがデメリットとなっています。



サーマルリサイクル(廃プラスチックの熱エネルギーを活用する)

サーマルリサイクルは、廃プラスチックを焼却し、その際に発生する熱をエネルギーとして活用する方法です。

廃プラスチックは紙類と比べると発熱量が大きく、焼却する際に発生する熱を、温水プールや浴場、暖房、発電などに用いる方法で、「ごみ発電」とも呼ばれています。
日本で最も利用されているリサイクル方法で、廃棄物をエネルギー源として再利用できまることがメリットです。

焼却時にCO2や有害物質が発生する点がデメリットです。



紙容器のリサイクル

紙の原料に向くものは、厚紙・段ボールや板紙、紙箱、卵のパック等に再利用されます。
また、製紙などの原料に向かないものは、サーマルリサイクルされ、工場などの燃料として使用されることになります。

一度使用した紙を古紙として繰り返し使うことが可能なため、新たに投入される木材の量を抑制し、限りある森林資源の有効活用ができることがメリットです。

デメリットとして、リサイクルができない紙があることや、繰り返しリサイクルされた紙は品質が劣化していくことがあげられます。



ガラス瓶容器のリサイクル

ガラス瓶は色ごとに分別され、砕いてリサイクルされます。
砕かれた後、磁石によって金属を取り除き、細かいごみを取り除いた上でガラス瓶や断熱材、建築材などにリサイクルされます。

リサイクルする工程で作られるカレット(再生原料)は、新たなガラス瓶や建築材に再利用され、天然原料100%で使用したときよりもCO2排出量を削減するメリットがあります。

ただし、重量や輸送コスト、色分別の手間がデメリットです。




世界のリサイクル法制度や施策

リサイクル4.jpg

アメリカ

アメリカでは、プラスチックのリサイクル率が低く、埋め立てが主流となっています。
州や自治体によって規制が異なるため、国全体で足並みが揃っていない状況でした。

しかし、2021年11月に米国環境保護庁(EPA)が「国家リサイクル戦略」を発表し、2030年までにリサイクル率を50%にする目標を掲げました。
また、拡大生産者責任(EPR)も注目され、製品廃棄後の責任を生産者に負わせる制度が検討されています。

日本の「容器包装リサイクル法」や「家電リサイクル法」がEPRに該当するといわれており、2023年は米国でEPR法が実現・具体化し始める年とも言われています。



欧州

欧州は世界に先駆けて環境政策を推進しており、近年はSDGsに対応してプラスチック廃棄物のリサイクル政策も進めています。

リサイクルが難しいプラスチック包材については、1994年に「容器包装と容器包装廃棄物に関する指令」を制定し、2018年には、EU各国が2025年までにプラ包材のリサイクル率50%、2030年までに55%を達成する目標を設定しました。

さらに、欧州委員会は2020年に「新循環型経済行動計画」を発表し、2030年までにすべての包装材を再利用・リサイクル可能にすることを目指しています。
この計画は、包材の設計から製造までのライフサイクル全体を考慮し、EU各国はこれを受けた具体的な取り組みを推進していく必要があります。



日本

日本ではプラスチックの使用を抑え、リサイクルを促進することを目的として、2022年4月から「プラスチック資源循環促進法」が施行されました。

これは、プラスチック製品の設計から販売、回収、リサイクルまでのプロセスを強化し、事業者、自治体、消費者が協力して循環型経済の実現を目指す仕組みです。
事業者は代替素材の使用や再利用可能な製品設計を促進し、自治体は廃棄物の分別や再商品化に取り組んでいます。

私たち消費者も環境に配慮した選択やリサイクルに協力することが求められています。




まとめ

日本では高度成長期以降、「大量生産・大量消費・大量廃棄」という経済発展が進み、廃棄物の増加が問題となっています。

特に食品容器は主にプラスチックで作られており、プラスチック廃棄物の大半は埋め立てや海洋投棄されているのが現状です。
日本の狭い国土では最終処分場の確保が難しく、焼却による廃棄物の体積削減が行われていますが、廃棄物の抑制とリサイクルが重要な課題となっています。
特に、容器包装廃棄物は廃棄物全体の大きな割合を占めており、その処理が緊急の課題となっています。

リサイクルの重要性については、「パリ協定」や資源の有効利用、廃棄物削減といった点からも明らかとなっており、プラスチックのリサイクルは、使い捨てプラスチックを削減し、温室効果ガスの排出を抑えるためにも不可欠です。
日本では1990年代から環境問題への関心が高まり、リサイクル関連の法律が整備されてきました。
たとえば、アルミニウムのリサイクルは新たな生産に比べてエネルギーを97%も節約できるなど、食品容器のリサイクルは、限りある資源を有効活用し、廃棄物の削減、エネルギーやコストの節約に繋がります。

また、プラスチックや紙の食品容器のリサイクルには、それぞれマテリアルリサイクルやサーマルリサイクルなど様々な方法があります。
プラスチックのリサイクルでは、製品を粉砕して新たな原料とする方法や、化学的に分解して再利用する方法が取られていますが、これらの方法には手間やコストがかかるだけでなく、リサイクル方法の1つであるサーマルリサイクルは廃棄物を燃料とする代わりに、CO2などの有害物質を発生させるリスクがあるなど、様々なデメリットがあります。

このようなリサイクル問題に対し世界では、アメリカや欧州がそれぞれリサイクル政策を推進しており、日本でも「プラスチック資源循環促進法」が施行され、事業者や自治体、消費者が連携することによって、持続可能な社会の実現を目指した取り組みが行われています。




環境に配慮した容器でリサイクル問題に取り組んでみませんか?

日本だけでなく、全世界でリサイクル問題への関心が高まっており、企業はリサイクル問題への取り組みを行なう必要があると言えます。

静岡産業社では、包装資材専門のチームを設けており、リサイクル可能な紙容器や、再生素材を使用した容器などを幅広く取り扱っています。
また、SDGsの実現に向け、環境問題へも積極的に取り組んでいます。
環境に配慮した商品は容器だけでなく、備品やその他副資材などにも多くありますので、お客様のニーズに沿ったご提案をさせていただきます。

環境に配慮した資材を導入する際は、お気軽にご相談ください。
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

資料ダウンロード・お問い合わせ

資料ダウンロード一覧

会社案内、パンフレット、お役立ち資料などをダウンロードいただけます。