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熱中症の基本知識と対策をわかりやすく解説

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熱中症の基本知識と対策をわかりやすく解説

近年、夏場の気温上昇により、熱中症への注意がますます重要になっています。熱中症は、炎天下の屋外作業だけでなく、工場、厨房、倉庫、店舗、バックヤード、通勤中、家庭内など、さまざまな場面で起こる可能性があります。

特に、食品製造業、飲食店、小売業、物流業などでは、火を使う厨房、熱がこもりやすい作業場、冷房が届きにくい倉庫や搬入口など、熱中症のリスクが高まりやすい環境も少なくありません。


従業員の体調を守ることは、安心して働ける職場づくりだけでなく、安定した店舗運営や事業継続にもつながります。また、家庭や日常生活でも、正しい知識を持っておくことで、重症化を防ぐことができます。


この記事では、熱中症の基本的な仕組み、注意したい症状、職場で取り組みたい予防策、日常生活でできる対策、万が一の応急処置までをわかりやすく解説します。






1. 熱中症とは

熱中症とは、高温多湿な環境に長くいることで、体内の水分や塩分のバランスが崩れたり、体温調節がうまくできなくなったりして、体にさまざまな不調が起こる状態のことです。

人の体は、汗をかいたり、皮膚から熱を逃がしたりすることで体温を調整しています。しかし、気温や湿度が高い環境では、汗が蒸発しにくくなり、体の中に熱がこもりやすくなります。その状態が続くと、めまい、頭痛、吐き気、倦怠感、意識障害などの症状につながることがあります。


熱中症は「少し気分が悪いだけ」と思って放置すると、短時間で重症化することもあります。そのため、早めに気づき、早めに休むことが重要です。




2. 熱中症が起こりやすい3つの要因



熱中症は、主に「環境」「身体」「行動」の3つの要因が重なることで発生しやすくなります。



環境の要因

気温が高い、湿度が高い、風がない、直射日光が当たる、照り返しが強いといった環境では、体に熱がこもりやすくなります。

職場では、厨房、工場、倉庫、配送作業、屋外作業、バックヤード、空調が届きにくい場所などに注意が必要です。火を使う調理場や、機械が密集している作業場では、室温以上に体感温度が高くなることもあります。




身体の要因

寝不足、朝食を抜いている、前日に飲酒している、下痢などで脱水気味になっている、体調がすぐれないといった状態では、熱中症になりやすくなります。

また、高齢の方、持病のある方、暑さに慣れていない方も注意が必要です。特に、急に暑くなった時期や、梅雨明け直後などは体が暑さに慣れておらず、熱中症のリスクが高まりやすいとされています。




行動の要因

長時間の作業、激しい運動、休憩不足、水分補給の不足なども熱中症の原因になります。

職場では、「忙しくて休憩しづらい」「作業中に水分を取りにくい」「周囲に遠慮して体調不良を言い出せない」といった状況もリスクになります。熱中症対策では、個人の注意だけでなく、休憩や水分補給をしやすい職場環境づくりが大切です。




3. 見逃してはいけない熱中症のサイン



熱中症は、早い段階で気づいて適切に対応すれば、重症化を防ぎやすくなります。反対に、初期症状を見逃したり、無理を続けたりすると、命に関わる状態になることもあります。

次のような症状がある場合は、熱中症を疑いましょう。

・立ちくらみ、めまいがする
・手足がしびれる
・こむら返りが起こる
・大量に汗をかいている
・汗の出方がいつもと違う
・頭痛がする
・吐き気がある
・体がだるい
・集中力が落ちている
・ぼーっとしている
・受け答えが普段と違う
・イライラしている
・呼びかけへの反応が鈍い

特に職場では、本人が「大丈夫です」と言っていても、周囲から見て様子がいつもと違う場合があります。ふらつき、返事の遅れ、作業ミスの増加、顔色の悪さなどに気づいたら、早めに休ませることが大切です。




4. 熱中症の重症度の目安




熱中症は、症状の程度によって軽症から重症まで分けて考えられます。

軽症では、めまい、立ちくらみ、生あくび、大量の発汗、筋肉痛、こむら返りなどが見られます。この段階で涼しい場所へ移動し、水分・塩分を補給し、体を冷やすことが重要です。

中等症になると、頭痛、吐き気、嘔吐、強い倦怠感、虚脱感、判断力や集中力の低下などが現れます。この状態では、無理に作業を続けさせず、医療機関への相談や受診を検討する必要があります。

重症になると、意識障害、けいれん、手足の運動障害、高体温などが見られることがあります。呼びかけに反応しない、自力で水分を飲めない、受け答えがおかしいといった場合は、すぐに119番通報が必要です。




5. 職場で取り組みたい熱中症対策



熱中症対策は、従業員一人ひとりの注意だけに任せるのではなく、職場全体で取り組むことが大切です。特に、厨房、工場、倉庫、配送、屋外作業など、暑さの影響を受けやすい現場では、事前の備えが重要になります。



作業環境を整える

まずは、作業場所の暑さをできるだけ軽減することが基本です。

直射日光が当たる場所では、日よけや簡易的な屋根を設置する、屋外では打ち水を行う、風通しを確保するなどの対策が考えられます。屋内作業では、空調、スポットクーラー、扇風機、換気設備などを活用し、熱がこもりにくい環境を整えることが大切です。

また、作業場所の近くに涼しい休憩スペースを用意することも重要です。冷房の効いた休憩室、日陰、風通しのよい場所など、体を冷やせる場所を確保しておくと、体調不良の予防にもつながります。




休憩と水分補給をしやすくする

熱中症対策では、こまめな休憩と水分・塩分補給が欠かせません。

喉が渇いてから水分を取るのではなく、作業前、作業中、作業後に定期的に水分を取ることが大切です。汗を多くかく作業では、水だけでなく、塩分もあわせて補給する必要があります。経口補水液、スポーツドリンク、塩分タブレットなどを状況に応じて備えておくと安心です。

職場では、「水分補給は各自で判断する」という形だけでは不十分な場合があります。時間を決めて声をかける、休憩を取りやすい雰囲気をつくる、忙しい時間帯でも交代で休める体制を整えるなど、管理側の工夫も必要です。




体調確認を習慣化する

熱中症は、その日の体調によっても発生リスクが変わります。

睡眠不足、朝食の未摂取、前日の飲酒、下痢や体調不良がある場合は、普段よりも熱中症になりやすくなります。作業前に体調を確認し、無理をさせないことが重要です。

また、高齢の方や持病のある方は、暑さを感じにくかったり、脱水に気づきにくかったりすることがあります。薬の影響で汗をかきにくくなる場合もあるため、必要に応じて主治医や産業医に相談しておくと安心です。




服装や冷却グッズを活用する

通気性や吸汗速乾性のある衣服、熱を吸収しにくい明るい色の服、帽子、冷感タオル、保冷剤、ネッククーラーなども熱中症対策に役立ちます。

ただし、作業内容によっては、安全上の理由で服装に制限がある場合もあります。食品製造や厨房、工場などでは、衛生面や安全面とのバランスを考えながら、現場に合った対策を選ぶことが大切です。




6. 日常生活でも気をつけたい熱中症対策



熱中症は職場だけでなく、家庭や外出先でも起こります。特に、室内、車内、買い物中、通勤中、庭仕事、スポーツ観戦、イベント参加などでは注意が必要です。

日常生活では、次のような対策を意識しましょう。

・喉が渇く前に水分を取る
・汗を多くかいたときは塩分も補給する
・暑い時間帯の外出をなるべく避ける
・外出時は帽子や日傘を活用する
・通気性のよい服を選ぶ
・室内では我慢せずエアコンを使う
・高齢者や子どもの様子をこまめに確認する
・車内に人を残さない

特に室内では、「外に出ていないから大丈夫」と思いがちですが、湿度が高く、風通しが悪い環境では熱中症になることがあります。キッチンでの調理中や、エアコンを使っていない部屋での作業にも注意が必要です。




7. 暑さ指数WBGTを活用する



熱中症の危険度を判断する目安として、WBGTという指標があります。WBGTは「暑さ指数」とも呼ばれ、気温だけでなく、湿度、日差しや照り返しなどの熱の影響も含めて、熱中症のリスクを判断するために使われます。

同じ気温でも、湿度が高い日や風が弱い日、照り返しが強い場所では、体への負担が大きくなります。そのため、熱中症対策では気温だけでなく、WBGTを確認することが有効です。

WBGTは、環境省の「熱中症予防情報サイト」などで確認できます。また、職場では携帯型のWBGT計を使い、実際の作業場所で測定することも推奨されます。

工場、厨房、倉庫、屋外作業などでは、場所によって暑さが大きく異なることがあります。事務所の温度だけで判断せず、実際に人が作業する場所の状況を確認することが大切です。




8. 職場における熱中症対策の義務化について



熱中症による労働災害を防ぐため、2025年6月1日より、職場における熱中症対策が強化されました。一定の暑熱環境で作業を行う場合、事業者には、熱中症のおそれがある作業者を早期に把握し、迅速に対応できる体制づくりが求められます。

対象となるのは、WBGT値28度以上、または気温31度以上の環境で、連続1時間以上、または1日4時間を超えて行うことが見込まれる作業です。

事業者には、主に次のような対応が求められます。

・熱中症の自覚症状がある作業者や、熱中症のおそれがある人を見つけた場合に、すぐ報告できる体制を整えること。
・緊急連絡先、搬送先、作業からの離脱、身体の冷却、医療機関への搬送など、対応手順をあらかじめ定めておくこと。
・それらの体制や手順を、関係する作業者へ周知すること。

つまり、職場の熱中症対策は「気をつけましょう」と呼びかけるだけではなく、実際に体調不良者が出たときに、誰が、どのように判断し、どこへ連絡し、どう対応するのかを決めておくことが重要になっています。




9. 熱中症が疑われるときの応急処置



熱中症が疑われる人を見つけた場合は、すぐに対応することが大切です。職場でも家庭でも、基本は「涼しい場所へ移動する」「体を冷やす」「水分・塩分を補給する」「一人にしない」ことです。

まず、本人をエアコンの効いた室内や、風通しのよい日陰など、涼しい場所へ移動させます。次に、衣服をゆるめ、体にこもった熱を逃がしやすくします。

体を冷やす際は、首の周り、脇の下、足の付け根など、太い血管が通っている部分を冷やすと効果的です。保冷剤、氷のう、冷たいタオルなどを使いましょう。可能であれば、皮膚に水をかけ、扇風機やうちわで風を送る方法も有効です。

意識がはっきりしていて、自力で飲める場合は、経口補水液やスポーツドリンクなどで水分と塩分を補給します。

一方で、次のような場合は、すぐに119番通報してください。

・呼びかけに反応しない
・受け答えがおかしい
・自力で水分を飲めない
・けいれんしている
・まっすぐ歩けない
・症状が改善しない
・高体温が続いている

判断に迷う場合は、救急相談窓口の利用も検討できます。ただし、意識がない場合や自力で水分を飲めない場合は、迷わず救急車を呼ぶことが重要です。

また、体調が少し回復したように見えても、急に悪化することがあります。熱中症が疑われる人を一人にせず、誰かがそばで様子を見るようにしましょう。




10. まとめ

熱中症は、正しい知識と早めの対策によって予防できる可能性が高い一方、対応が遅れると命に関わることもある危険な症状です。

職場では、作業環境の見直し、休憩場所の整備、水分・塩分補給の徹底、体調確認、緊急時の対応手順づくりが重要です。特に、厨房、工場、倉庫、屋外作業、配送作業など、暑さの影響を受けやすい現場では、暑くなる前から準備しておくことが大切です。

日常生活でも、こまめな水分補給、室温管理、無理のない行動、周囲への声かけを意識することで、熱中症のリスクを下げることができます。

「このくらいなら大丈夫」と無理をすることが、重症化につながる場合があります。自分自身の体調に気を配ることはもちろん、職場や家庭でお互いに声をかけ合い、早めに休める環境をつくることが、熱中症から身を守る第一歩です。

暑さが本格化する前に、作業環境や休憩スペース、冷却グッズ、飲料、緊急時の連絡体制を確認し、安心して働ける環境づくりを進めていきましょう。




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